4月に発売したカップヌードル初のプレミアムタイプ「カップヌードル リッチ」が、わずか1カ月で計画を大きく上回る累計販売食数600万食を達成し、その後も好調を維持している。“よりおいしいもの”を求める60代の「アクティブシニア」と呼ばれる層のニーズに応える戦略商品という位置づけで、カップヌードルブランドの新たな可能性を広げている。

カップヌードル誕生45周年記念商品として発売した「カップヌードル リッチ」は、スッポン鍋やフカヒレの姿煮をイメージした贅沢なスープが特徴のプレミアムタイプ。カップヌードル主要購買層はもとより、シニア層にも幅広く受け入れられた裏側には、徹底したターゲット戦略があった。日清食品でカップヌードルのブランドマネージャーを務める藤野誠氏に聞いた。

日清食品 カップヌードル ブランドマネージャー 藤野誠氏
―「贅沢だしスッポンスープ味」「贅沢とろみフカヒレスープ味」の2種類で展開を始めた、カップヌードル初のプレミアムタイプである「カップヌードル リッチ」開発の経緯について教えてください。
藤野誠氏▶︎ カップヌードルは、100年続くブランドを目指していますが、ボリュームゾーンである40代~50代男性の年齢が徐々に上がっていくことが、課題の一つでした。シニア世代になってもカップヌードルを食べてもらいたい。そこで今回は、その世代にもう一度カップヌードルに目を向けてもらうことを意図しました。
カップヌードルは今年で45周年を迎えました。現在60歳以上の方々が10代~20代の頃に誕生したブランドで、まさにその成長を支えてくださったのは今のシニア世代の方たち。しかし年代別の喫食率を見れば、60歳を超えると一気に下がってしまう傾向があります。そこで新しい商品の企画・設計が必要との考えから、今回のプロジェクトがスタートしました。これまでカップヌードルは、若年層にリーチするための施策を行っていましたが、シニア世代を対象にしたプロジェクトは初めての試みでした。
ただしプレミアム商品を支持してくださるのは、シニア世代の方だけだとは思っていません。彼らはあくまでメインターゲットですが、それ以外の世代の方々にも食べていただける商品設計にしています。カップヌードルの新商品は、常に既存のユーザーにも支持していただきながら、その上に戦略ターゲットを積み上げるイメージで企画をしています。
―4月11日の発売から、1カ月で販売累計600万食を突破しました。商品がヒットした要因をどのように分析していますか。
藤野氏▶︎ ターゲットであるシニア世代をステレオタイプに捉えず、しっかりと研究した上で ...