アサヒビールの新商品「アサヒもぎたて」の勢いが増している。今年4月5日に発売されると、販売計画の1.6倍のペースで推移。最盛期の夏を控え、5月~6月の生産を当初計画から6割増に引き上げた。販売開始から続く好調を理由に、初年度の販売目標も500万箱から600万箱*1と、2割増の上方修正に。アサヒのRTD*2事業のけん引役として、主力商品への育成を図る。
*1 1箱=250ml×24本換算
*2 Ready to Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指す
好調な立ち上がりを見せる「アサヒもぎたて」は、部署の垣根を越えた会社全体での取り組みの末に生まれたという。マーケティングを担当する宮广(みやま)朋美氏、研究開発を行った和田華奈子氏と波多野稔子氏の3人に、話を聞いた。
アサヒビール マーケティング本部 宮广(みやま)朋美氏(中央)
研究開発本部 和田華奈子氏(右)
波多野稔子氏(左)
―売上目標を上方修正するほどの好調ぶりですが、要因は。
宮广(みやま)朋美氏▶ 各部署を横断して一つのチームを立ち上げたことが、成功要因の一つだと思います。ネーミングも決まっていない段階から、開発コードを「AZ」として、マーケティング部を中心に、研究所や宣伝部、広報部門、営業部門、量販統括部など関連するさまざまな部門から人員を集め、「チームAZ」をつくりました。
中味やネーミング、パッケージを含め、通常は商品が完成してから宣伝部や広報部、営業部といった他部署に展開するのですが、今回は、RTD事業を再構築し、中核商品を開発するという、全社規模のプロジェクトとなりました。
波多野稔子氏▶ 「AZ」は、「新鮮なものはおいしい」という、非常にわかりやすいコンセプトがあったことも良かったと思っています。そのコンセプトを「もぎたて」というネーミングでしっかりと表現できたのは、大きな一歩でした。部署横断型のチームにしたことで、商品開発の段階からマーケティング視点を取り入れ、同じ人員によって目的を共有して進められたことは、セールスにも寄与していると思います。
実際、「もぎたて」のリピート率は、直近2年間の過去新商品と比べ、非常に高く推移しています。購入者の構成比では、男性と女性が半々で、他の高アルコール商品よりもお客さまが多いですね。「最初から最後までおいしく飲める」という狙いの元に開発し、実際に手にとっていただいたお客さまが、おいしさを実感していただけたからこそ、高いリピート率につながっているのではないでしょうか。
和田華奈子氏▶ また、通常の商品開発よりも多くの部署に関わってもらった結果として、製法面でもチャレンジができました。24時間以内に搾汁した果汁のみを使用することやアサヒフレッシュキープ製法を取り入れていることも特徴の一つです。
研究所でも、「もぎたて」には …