誘致のカギは独自資源の活用 「アート」に活路を見出す香川県の挑戦
2000万人規模となった訪日観光客は“巨大マーケット”として、企業だけでなく地方自治体からも熱い視線が送られ、激しい誘致競争が繰り広げられている。その土地ならではの魅力を発信し、取り組みが奏功している地域がある一方で、そうでない地域も少なくないのが実情だ。香川県の事例から、その成否を分けるカギを考える。
インバウンド×地方創生
ことし4月に20周年を迎えた商業施設「キャナルシティ博多」。日本初となる、本格的な食事を映画館で鑑賞中に楽しめるサービスなど、新たな取り組みにも積極的だ。同施設には、地理的にも近い韓国と中国を中心に、年間約150万人の訪日観光客が来館するという。購買の後押しとリピーター客の獲得がカギだ。
長さ約180メートルのキャナル(運河)を囲むように、ショッピングモール、映画館、ホテル、オフィス等が並ぶ大型複合商業施設だ。
総合免税店「ラオックス」やドラッグストア「マツモトキヨシ」、「無印良品」など、訪日観光客が好むテナントが集まる商業施設「キャナルシティ博多」(福岡市)。同施設では、世界で10億人が利用する無料のメッセージ・通話アプリ「WeChat(ウィーチャット)」をことし1月に導入した。できるだけ多くの訪日観光客と接点を取り、円滑なコミュニケーションを取るためだ。
「WeChat」では、イベント情報やセール情報、店舗のおすすめ情報などを定期的に配信するほか、施設概要や交通アクセス方法、免税方法や外貨両替機(ATM)の場所、FreeWi-fiへのログイン方法など、訪日観光客が来館時に必要とする情報を、いつでも確認できるようにしている。さらに、キャナルシティ博多は6つのビルで構成されているため、目的のビルがどれかを一目で分かるように、ビル毎に異なる色をフロアサインに表示している。また、例えば化粧品の取り扱いがあれば化粧品マークのサインを作るなど、店舗側が工夫して表示しているものもある …