誘致のカギは独自資源の活用 「アート」に活路を見出す香川県の挑戦
2000万人規模となった訪日観光客は“巨大マーケット”として、企業だけでなく地方自治体からも熱い視線が送られ、激しい誘致競争が繰り広げられている。その土地ならではの魅力を発信し、取り組みが奏功している地域がある一方で、そうでない地域も少なくないのが実情だ。香川県の事例から、その成否を分けるカギを考える。
インバウンド×地方創生
世界有数のパウダースノーの聖地として知られているニセコ。冬のシーズン中は観光客約90万人のうち過半数を訪日客が占める。もともと外国人が増加するきっかけとなったのは、ニセコに遊びに来た外国人の「口コミ」だ。冬季の印象が強いニセコだが、実は夏のインバウンド需要も高まっているようだ。
冬場のパウダースノーはオーストラリア人に大人気だ。ゴールデンウィークまでオープンしているゲレンデもある(上)。夏場は避暑地としてロングステイを楽しむ観光客もいる(下)。また、蝦夷富士(えぞふじ)とも呼ばれている「羊蹄山」がニセコのシンボルとなっている。
世界も認めるリゾート地であるニセコだが、実は、ニセコ町のほかに蘭越町(らんこしちょう)、倶知安町(くっちゃんちょう)なども含める場合がある。例えばニセコエリア最大規模の「グラン・ヒラフ スキー場」は倶知安町内に位置している。そのため「ニセコブランド」として知名度を高めるには、「町」を超えた連携が不可欠となる。また、冬の話題が目立つ一方、夏の楽しみがまだまだ知られていないことも、見過ごせない課題だ。
そこで四季を通じたニセコブランドを国内外に定着させるため、「ニセコ観光圏」を形成、2014年度に国から認定された。発足後はコンテンツのブラッシュアップと国内外の垣根を越え …