癒しの空間と会話でブランドの世界へ誘う、テラリウム表参道
アルビオンは3月、東京・表参道に新業態「テラリウム表参道」をオープン。自然派コスメ「インフィオレ」シリーズを販売するほか、無料で試せる足湯もあり、同社の考えるオーガニックカルチャーを発信する。体験できる場を多く設けた同店では、店員がどんな提案をしているのか。
「店員力」で売り上げを伸ばす
実店舗でもネットでも自由に商品が購入できる─。そうした買い物環境を整えようとする流れが活発化する中で、接客はどうあるべきなのか。
©vasvas/123RF.com
店内投票イベントが会話のきっかけに どのコーディネートがいいか投票してもらうイベントを実施してみよう。一番人気のコーディネートを選んだ人の中から抽選で1人に洋服をプレゼントする。店内に活気が生まれ、来店客の好みを知るきっかけに。
自社に、リアル店舗もネットショップもある場合、社内で両部門がライバル化してしまうことがあります。しかし会社としては、全体の売り上げが上がればいいわけですから、ネットショップへ誘導することを実店舗の役割としてしまうのも手です。接客後、即決してもらえればベストですが、商品を存分に試してもらい、購入の決断に近いところまで持っていくことを目指す。チャネルの分け隔てなく接客をとらえていくのです。
ネットで情報を見たお客さまも、実際に商品を試したい場合は店に来てくれます。ですから「この商品は、ネットでこんな風に話題になっています」というのも、有効な接客トークになります。先日「婚活リップ」としてネットで人気の商品を、どんな色なのか実店舗まで確かめに行ったことがあります。蓋に名前が刻印できるサービスにも後押しされ購入しました。つまり実店舗で接客する場合も、ネットで商品がどう話題になっているのかを知っておいたほうがいいということ。「メディアで見た商品がほしい」という問い合わせに対し、「在庫がございます」「お取り置きしておきます」とすぐに答えられれば機会損失が防げます。
「うちの商品ではないですが、ネット通販では今こうした商品が話題です」と比較対象の商品までトークができると、その分野に対して深い知識を持っていることが顧客に伝わり、信頼されます。「AとBとCがあって、うちはBですが、Aに比べて…」と他社商品を交えながら話すと、結果的に自社商品の良さを伝えることにもなるのです。
先日購入した家電も、最初は比較情報サイトを見ながら購入を検討していましたが、部屋にマッチするのか、など結局実物を見ないと決断できず、実店舗まで足を運びました。いま「ネットで見た情報が、ライブになる接客」が求められているのです。
固定客化がうまい店員は、他社商品もよく知っていて、「うちのお店にはないんですが、あの店にはありますよ」と隣の店にも連れていってしまいます。そうするとお客さまは次回、隣の店ではなく自分の店に来てくれます。お客さまは気持ちよく買い物をしたいので、二回目に訪れたときに「この間のアレ」というだけでピンと来てくれると嬉しいもの。「話の続き」ができる安心感があるので、また来たい、となります。美容師を指名するのと似ていますね。
しかし新人店員の悩みのトップは「お客さまに無視されてキツイ」。会話を始めるきっかけが見つけられていません。「何をお探しですか」と聞いても ...