昔ながらのユルいSNSが好きなワタシ
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)対オールドメディア──2024年の後半、よく聞かれたフレーズである。振り返ると、昨年は米大統領選を始め、日本国内の選挙でも、新聞やテレビが報じる内容とSNSで拡散する内容とが異なり、必ずしもメディアの報じる選挙結果にならないこともあった。
「買う」5秒前2
工房を横目に、素材感が強く残る板チョコを堪能できるビーン・トゥ・バーは、いわばチョコ業界のサード・ウェーブ。
イラスト:高田真弓
バレンタインシーズンである。日本のバレンタイン市場は2014年にハロウィーンに抜かれた。SNS文化を背景に盛り上がり、成長を続けるハロウィーンに対し、バレンタインは義理チョコ文化が廃れるなど、今一つ社会の時流になり得ていない。
そんな中、15年あたりから話題になりつつあるチョコレート業界のトピックが、「ビーン・トゥ・バー」である。
ビーンはカカオ豆、バーはチョコレートバー(板チョコ)のことで、カカオ豆から板チョコになるまでの全ての工程を1つの店舗で行うショコラトリーをそう呼ぶ。数年前にアメリカで火が付き、今やその波は世界中へ拡散。カカオ豆の産地や質の選別に始まり、焙煎、摩砕、調合、成形に至る全ての工程を行うことから店ごとの個性が出やすく、且つカカオ豆本来の味が既製品より強く残るため、独特の深い味わいのチョコレートができる。
今や都内でも、次々にビーン・トゥ・バーの工房を備えたショコラトリーが誕生しており、マーケットのトレンドになっている。ギャラリーを思わせるシンプルで落ち着いた内装に、併設された工房。デコレートされた商品というより、チョコレート本来の味を楽しむ雰囲気がお客を新鮮な気持ちにさせる。その空気感は、まるでコーヒー業界の「サード・ウェーブ」を彷彿させる。
そう、原料の選定・焙煎から、商品の提供に至る工程を一貫して行うスタイルにおいて、ビーン・トゥ・バーとサード・ウェーブはよく似ている。そこに人気の秘密があるのではないだろうか。
実際、ある業界で新規の店を立ち上げる際、完成型の商品で勝負しようとしても …