全日本空輸(ANA)は2015年から5年間に及ぶ長期タイアップ「スター・ウォーズ・プロジェクト」を始動させた。映画の世界観を活かしてつくった特別機は、海外メディアからも注目を集め、フライトイベントには、コスプレしたファンが集まり、盛り上がりを見せた。
特別塗装された「R2-D2 ANA JET」の遊覧飛行イベント。映画『スター・ウォーズ』のさまざまなキャラクターに扮した参加者が一堂に会した。男性ファンだけでなく、子どもや女性もコスプレ姿で大勢参加。
特別機の製造段階から演出方法を追求
ANAは「スター・ウォーズ・プロジェクト」を、2020年3月まで5年の歳月をかけて展開する。映画『スター・ウォーズ』シリーズの新たな3部作の製作が2019年まで予定されていることから、この長期タイアップが実現した。核となるのは映画の人気キャラクターを世界で初めて飛行機の外観に描いた3機の特別塗装機だ。
3機のうち最初に登場した「R2-D2ANA JET」は羽田~バンクーバー線を皮切りに就航した「国際線」仕様の飛行機である。現在、ANAは国際線シェアトップを誇るが、国際線のJAL、国内線のANAというイメージは未だ根強い。世界39都市に就航する「国際線に強いANA」をアピールすることが、このタイアップの目的にある。海外出張も多く、仕事で活躍する40~50代は、映画シリーズ初期からの熱狂的な『スター・ウォーズ』ファンが多い層と重なる。
このプロジェクトを率いるのは、自らも映画のファンという同社マーケットコミニュケーション部の宮川弘之氏。数あるキャラクターの中でも「R2-D2」を起用したことについては、「いかなる場面においても『R2-D2』は頼れる存在。当社の企業カラーであるブルーも使われています。信頼性の高い航空会社を目指す当社のプロジェクトの象徴としてふさわしいと考えました」と打ち明ける。
4月16日、プロジェクトの第1弾として、米国アナハイムで開かれたファンイベント「スター・ウォーズ・セレブレーション」で、「R2-D2 ANA JET」のデザインを発表。9月12日には、米国シアトルで完成した機体を初披露した。10月18日の初便前日となる10月17日には、抽選などで選ばれたファンを羽田発着の遊覧飛行に招待。91名の参加者が「ダース・ベイダー」や「ストームトルーパー」など思い思いのキャラクターに扮して搭乗し、話題を集めた。限定グッズのギフトも用意するなどしてファンをもてなした。
機内にも「スター・ウォーズ」感を盛り上げるさまざまな仕掛けが施されている。映画のテーマ曲に合わせて、天井のライトがライトセーバーのように赤や青に変化する光の演出をはじめ、ヘッドレストカバーや紙コップにも「R2-D2」のデザインを使用。2016年1月31日までは、過去の『スター・ウォーズ』作品が座席のモニターで視聴できる。「ライトセーバーをイメージしたライトは、同機を製造する段階から特別に組み込んだものです」(同氏)。
8月18日には、「STAR WARS ANA JET」と「BB-8 ANA JET」のデザインを発表した …