レンタル・シェア文化を浸透させるためのブランディング (後編)
必要なときに必要なだけ利用できる経済性や合理性が支持され、広がりを見せているレンタル・シェアリングサービス。車からファッション、スペース、スキルまでさまざまなカテゴリーでサービスが生まれている。ただ、なんとなく存在は知っているものの、一歩を踏み出すには至っていない生活者が多いのも事実。成長過程のサービスの最新プロモーションを取材した。
業界別販売促進
ネットフリックスやアマゾンの参入で、注目が高まりつつある動画配信サービス。既存サービスもコンテンツ拡充や機能改善に取り組み、会員獲得のためのプロモーションも一層熱を帯びている。主戦場であるオンラインだけでなく、ポテンシャルの高い層を取り込もうとするリアルな場での施策にも注目だ。
エイベックス・デジタル
映画『進撃の巨人』と完全連動したdTVオリジナルドラマを配信。写真下は、オリジナルドラマ制作発表の様子。
HJホールディングス
映像化不可と言われたベストセラー小説を原作とするHuluオリジナルドラマ『フジコ』。徳間書店の協力を得てポスターを店頭掲出したほか、文庫本の帯での告知も行った。
T-MEDIAホールディングス
さまざまな映像視聴の方法が広がるなか、映像クリエイター市場の活性化を目指した才能発掘プロジェクトをスタートさせた。11月12日に行われた最終審査会(写真下)では、女優の黒木瞳さん、映画監督の本木克英さんら第一線で活躍するクリエイターが審査員を務めた。
いつでもどこでも好きな動画を楽しめるのが売りの動画配信サービス。デジタルコンテンツ協会によると、2014年の有料動画配信サービスの市場規模は、前年比102%の約1,255億円。2019年には2,020億円まで成長が見込まれるという。
とはいえ、定額動画配信サービス自体はまだ新しい領域。テレビや無料動画配信サービスで満足している人に対して、お金を払う価値のある視聴体験であることをどのように伝え、会員獲得につなげていくかが課題である。今回は、2015年夏の新規参入企業を迎え撃つ立場の3つのサービスのプロモーションを取り上げる。インターネット上だけでなく、リアルの場も活用した興味関心層へのアプローチの取り組みを見ていこう。
エイベックス通信放送が運営し、NTTドコモが提供する「dTV」は、月額500円で12万以上の作品を楽しめる映像配信サービスである。国内の競合サービスを圧倒する配信作品数に加え、映画、ドラマから音楽まで13ジャンルにも及ぶコンテンツの多彩さが強み。
もとは2009年にドコモユーザー向けの「BeeTV」(後に「dビデオ」)としてスタートした。14年4月にキャリアフリー対応になってからは、ドコモ以外の会員数が急増。今ではウェブ上での入会者の3人に1人はドコモ以外の会員が占める。15年4月、よりテレビに近い感覚で映像を楽しめるよう、ユーザーインターフェイスに改良を加えてdTVにリニューアルした。現在、会員数は約475万人。
dTVがまずターゲットとして狙うのは、映画やドラマ、音楽を能動的に楽しむ人たちである。ただし、「お金を払って入会してもらうには、『これが見たい』という明確な動機が必要」と話すのは、エイベックス・デジタル デジタルビジネス本部デジタルコミュニケーション部部長の佃田 淳氏。
そこで力を入れているのが、dTV独自のプレミアムコンテンツだ。大手映画配給会社と組み、話題作を定期的に配信している。15年5月には映画『新宿スワン』の公開前に本編を配信したほか、8月には映画『進撃の巨人』を補完するオリジナルドラマを映画公開に合わせて配信した。大作邦画と連動させることで、映画のプロモーションに乗じたメディア露出も増やすことができるというわけだ。
プレミアムコンテンツのもう一つの柱として、人気アーティストのライブ映像の生配信を15年から毎月実施している。「音楽コンテンツはエイベックスの強みであり、ライブ映像の生配信はdTVだけ」と佃田氏。8月は『進撃の巨人』のオリジナルドラマ配信と、エイベックス主催の夏フェス「a-nation stadium fes.2015」の主要ライブの生配信が行われたこともあり、「dTVの認知度向上と入会促進にかなり貢献しました」と佃田氏は話す。
dTVにリニューアル後は、「dTV」という名前を覚えてもらうため、テレビCMを大量に投下。また、記者発表会以降、エンターテインメント系メディアのみならず、動画配信市場に注目するIT系やビジネス系のメディアを通じたパブリシティ活動にも力を入れている。ただ、映像配信サービス自体がまだまだ世の中に浸透していないだけに …