訪日外国人観光客が普段使い慣れた決済手段を導入することで、買い物の利便性を高めようという動きも進んでいる。
「WeChat」はヨーロッパでも導入が進んでいる。写真は2013年にイタリア・ミラノで開催されたゲーム関連展示会にて(写真提供:Shutterstock.com)
新たな一手は、社内からの要請も
大丸松坂屋百貨店は9月30日、中国のメッセージアプリ「WeChat(ウィーチャット、中国名=微信)」の決済サービス「WeChatペイメント」を、大丸6店舗と松坂屋2店舗の訪日観光客向け売り場に導入した。「WeChat」は日本のLINEに似たサービス。決済後に大丸松坂屋のWeChatアカウントをフォローするよう促し、利用客が帰国した後も、店舗情報やクーポンを配信して再来店につなげるという取り組みだ。
導入を担当した大丸松坂屋百貨店のインバウンド担当小野圭一氏は、「第一の目的は、訪日のお客さまの利便性の向上」と語る。「WeChatペイメント」は、あらかじめ銀行口座を「WeChat」アカウントに登録しておくと、店頭端末にスマートフォンをかざすだけで支払いができる決済手段。ユーザー数は4億人に上り、中国では暮らしに密着したサービスだ。
日本ではネットスターズが代理店となって運営、決済は三井住友信託銀行の信託スキームを通じて支払われる。
大丸松坂屋百貨店の3~8月累計の免税売上高は、前年比4.5倍に急伸した。中国客の免税品の購入額は免税売上全体の約3分の2を占める。実態として決済として最も大きなボリュームとなるのは「銀聯(ユニオンペイ)カード」になるが、「純粋にお客さまの利便性を高めたい。それが結果としてさらなる需要獲得につながるはず」と小野氏は語る。
「訪日観光客需要は百貨店業界では明確な成長マーケットとしてとらえられている。比較的新しい一手にも理解を得やすく ...