ショップのECサービス「カエルパルコ」を海外向けに拡大したパルコ。店頭で良質な「買い物体験」を訪日観光客に提供できれば、帰国後の購入機会や再来訪のきっかけをつくることができる。

(写真左)海外からの利用もできるようになった「カエルパルコ」。ネットの接続元から国や地域を判別し、自動で適切な言語のバナーを表示して注文用ページへ誘導する。
(写真右)パルコのスマートフォン向けアプリ「ポケットパルコ」でも、ショップブログが閲覧でき、気に入った投稿には「ハートマーク」のチェックができる。写真からそのまま「カエルパルコ」に遷移し、注文することも可能。
パルコは9月24日、ウェブを通じた商品取り置き・購入サービス「カエルパルコ」を、国外も対象として拡大した。
「カエルパルコ」は今年3月にPARCO全店導入した施策で、8月現在で約100店舗が参加する。ショップスタッフが日々投稿する「パルコショップブログ」で紹介した商品を取り置きしたり、注文を受け付けたりする。売上がショップにつくのが特徴だ。「カエルパルコ」の事業目標は「カエルパルコ」を利用するショップ平均で月間売上高の5%を上乗せすることだが、すでに月間売上高の約20%分を純増させる店舗も現れているという。購入者は店舗所在地外の都道府県からが7~8割、店舗の営業時間外が3~4割だ。
海外からの注文は次のように対応する。まずアクセス元の国や地域をIPアドレスで判別し、使用言語に対応したバナーを表示。クリックすると注文サイトに進む。申し込みがあった場合は、購入代行を手がけるベリトランスの倉庫を経由して、顧客へ商品が届く。
「カエルパルコ」の海外からのサイト閲覧は10月時点で全体の約3%ほど。買い物ができるプラットホームとしての浸透はこれからだ。10月1日~7日の中国の国慶節休暇に合わせて、クーポン付きのチラシを来店者に渡す取り組みも行った。
フォロワー170万人のモデルを起用
もちろん海外でのパルコの認知度を高める施策も不可欠だ。パルコの海外発行クレジットカードの支払いシェアでは、タイが1位。次いで香港、中国、韓国、台湾の順となる。上位2つの国と地域は主要ターゲットだという。タイは2010年の訪日観光客者数が約21万5000人で、翌11年は震災の影響で減少したものの、2014年は65万7600人と年平均成長率32%で伸びている。中国や台湾からは1ケタ少ないが、今後の成長に期待がかかる。
タイにも多くのメディアがあるが、「特にソーシャルメディアが有効のようす」とパルコのインバウンド向けマーケティングに携わる久保田晋一氏(メディアコミュニケーション部部長)は話す。中でも写真共有ソーシャルメディア「インスタグラム」が人気だ。
そこでタイの消費者に大きな影響力を持つモデルのPIMTHA(ピムタ)さんを起用した。ピムタさんはインスタグラム上で170万人規模のフォロワーを持つ人で …