池田模範堂はことし4月から8月にかけて、かゆみ止め薬「ポケムヒS」とアイドルグループ「でんぱ組.inc」との一大コラボレーションを実施。10代後半~20代の女性をターゲットに、ユーザー獲得につなげた。1年間にわたるコラボは、池田模範堂市場開発室の渡邉彩氏の「思いきり、遊んでみませんか」との一言から始まった。
限定ライブをプレゼント
従来コラボしていた「ハローキティ」も前面に出した店頭ツール。8月20日に開催した限定ライブのプレゼントキャンペーンを告知したほか、「でんぱ組.inc」メンバーをキティ風にデザインしたベタ付けマグネットも。
©1976,2015 SANRIO CO.,LTD.TOKYO,JAPAN Ⓛ
古めかしいイメージ払拭が課題
「ムヒでは従来、機能訴求に焦点を置く、というのがプロモーションの基本方針だったんです」――こう切り出したのは、池田模範堂・市場調査室の渡邉彩氏だ。アイドルグループ「でんぱ組.inc」とのコラボレーションは、その方針を180度転回させたものとなる。それは、商品にまつわる「伝統的な薬」とのイメージを払拭し、若い世代に手に取ってもらいたい、という狙いがあったからだ。
ムヒの歴史は大正時代にまで遡る。池田模範堂はかゆみ止め薬のシェア6割を占めるトップ企業だが、その一方で、「古い」「親が使うもの」という印象も根付いてしまっているのが課題だという。若者向けに開発された「ポケムヒS」もそのイメージから逃れられない現状もある。昨年まで、「BEAMS(ビームス)」など、ファッションブランドとのコラボレーションを行ったり、2009、10年ごろからパッケージを刷新したり、「ハローキティ」とのコラボを続けているのも、そうしたイメージを拭い去るためだった。
アイドル活動そのものとコラボ
MVは音楽番組でも紹介
キャンペーンを告知するウェブCM(左)とミュージックビデオ(右)。ミュージックビデオは楽曲リリースより先行し、音楽番組や全国のCDショップでも流した。
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ライブグッズも制作
プレゼントキャンペーン第2弾として、ライブ会場で点灯させて楽しむオリジナルブレードのほか、ミュージックビデオに登場する「デカポケムヒ」もプレゼント。
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もちろん、それで手応えがなかったわけではない。しかしある種の先入観を壊すためには、もう一歩何かが足りない。そうした思いが、渡邉氏の「思いきり、遊んでみませんか」との言葉に表れた。
「『でんぱ組.inc』とコラボしましょう。ポケムヒSと一緒に、みんなでひと夏盛り上がった思い出をつくるんです」。こう答えたのは、森川俊さんら博報堂ケトルのチームだった。「『でんぱ組.inc』ですか…?」それが渡邉氏の第一声だった。提案時を同氏はこう振り返る ...