セブン&アイグループのオムニチャネル戦略が本格的に稼働し始めた。セブン‐イレブンは、その戦略のなかで中核的な役割を担うとされる。「脱コンビニ」との指摘も聞く。今回のテーマ「顧客接点の拡大」をキーワードに、セブン‐イレブンがオムニチャネルで果たす役割を読み解いてみたい。
2015年11月1日スタートの新サービス 『omni7』(オムニセブン)
セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニ、百貨店、スーパーなど、多様な業態を持つグループの強みを生かし、「いつでも、どこでも、欲しい時に、あらゆる商品・サービスを利用できる」買い物スタイルを提供していく。セブン‐イレブン店舗をさらに利便性の高い生活拠点とすべく、商品の受取りや、返品・返金などのサービスも幅広く実施する。写真はサイトイメージと梱包箱。
フェイス・トゥ・フェイスで24時間365日の顧客接点を構築
一昨年、セブン&アイグループ各社の幹部総勢50人ほどが揃って米国に飛び、オムニチャネルを提唱した百貨店のメイシーズ等を視察した。米国での10日間、視察と会議を繰り返すことで、グループ各社のベクトルを揃えていったという。ここから「いつでも、どこでも、スムーズに、お客様が求める商品が購入でき、人に紹介したくなるサービス」というセブン&アイ流のオムニチャネルのコンセプトがまとまった。
米国のメイシーズが提唱したオムニチャネルは、リアル店舗やネットショップ、物流センター等に点在する顧客や在庫などの情報を一元化することで、顧客ニーズに素早く対応することを目指すものだ。多くの消費者はすでに、商品によって、あるいは、時と場合によって、購入する店舗やサイトを使い分けている。こうした消費者に向けて、リアル店舗やネットショップなど複数(マルチ)チャネルを提供するだけに留まらず、チャネル間の壁を取り払って、顧客の好きな時と場所で買い物できるよう環境を整える。
たとえば、リアル店舗で商品を見ながら買い物中に、この商品は現金で支払って持ち帰り、この商品はクレジット払いで期日指定配送にするといったことが手元のモバイル端末などを使って簡単にさっと済ませられたら便利だろう。つまり、一度の買い物で、商品ごとに、決済の手段と商品の受取方法が選べ、チャネルの使い分けがシームレスになる。
実際に、Eコマースの発達した米国以上に日本のほうが、決済手段や商品の受渡方法の多様化は進んでいる。世界14ケ国でネットショッピングを手掛けるアマゾンも、日本の顧客は特にサービスのクオリティに敏感だとして、日本だけの独自サービスをいくつも用意している。たとえば、購入代金のコンビニ支払や購入商品のコンビニ受取、ヤマト運輸の事業所受取などである。
コンビニ店舗を介したサービスは …