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コンビニにヒント有り 顧客開発の新発想

商品、トレンド、接点で顧客拡大 ローソンは大きく進化していた

上阪徹

コンビニを利用しても、店内をじっくりと眺める機会は、意外になかった。そんな中、ブックライターとして著書『なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?』を書く機会に恵まれた。驚いたのは、コンビニが大きな進化を遂げていたこと。書籍では11人のローソン関係者にインタビューすることで、今のコンビニを浮かび上がらせる手法を取ったが、ここでは大きく3つの視点で進化を紹介してみたい。

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若い女性の集客に成功! 
一日5万個売れればヒットと言われる中で、女性客を中心に一日60万個が売れたメガヒット商品だ。

顧客層を大胆に変えた

まず取材でびっくりしたのは、ローソンのスイーツが本当においしくなっていたこと。その象徴が2010年に発売され、大きなブームを巻き起こした「プレミアムロールケーキ」だ。今やコンビニでは、洋菓子店レベルのスイーツが売られている。そしてこの商品の開発とヒットの背景には、コンビニの顧客層を大胆に変える、という発想があった。

かつてのローソンは、スイーツで競合に遅れを取っていた。これを一気に巻き返すべく、担当者に任命されたのが、大手百貨店の洋菓子売り場出身の商品開発担当者。デザートをまったく新しくする、という命題に対し、彼が真っ先に描いたのが、ターゲットを変えることだった。若い女性の取り込みである。

コンビニのメイン顧客は、かつて若い男性だった。スイーツも男性向けに作られていた。女性にコンビニでスイーツを買わない理由を徹底リサーチしたところ、キーワードが浮かび上がった。生クリームである。男性向けのスイーツでは、量を意識し、コストを下げようと油脂メーカーの植物性脂肪のホイップクリームを使うのが常識とされていた。しかし、専門店で食べ慣れている味に敏感な女性には、受け入れられなかったのだ。

専門店並みのスイーツを作る。コストは高くなるので値段も高くなる。だが、コンビニのデザートとしてはちょっと高いが、百貨店や専門店のデザートよりは安い、という新しいゾーンが作れると考えた。これが見事に的中する。

生クリーム開発には、140種類ものブレンドに挑んでいる。生地も専門店で使われている粉にこだわった。繊細な粉だけに扱いが難しく、工場で生地を焼くのに悪戦苦闘した。まったく新しいラインも作った。一人用デザートにするため、切られた大きさでロールケーキを手作りする、という革新的アイデアも生まれた。

一日に5万個売れたらヒット商品になるデザートで、「プレミアムロールケーキ」は一日60万個が売れる超メガヒットに。棚からはあっという間に消え …

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