レンタル・シェア文化を浸透させるためのブランディング (後編)
必要なときに必要なだけ利用できる経済性や合理性が支持され、広がりを見せているレンタル・シェアリングサービス。車からファッション、スペース、スキルまでさまざまなカテゴリーでサービスが生まれている。ただ、なんとなく存在は知っているものの、一歩を踏み出すには至っていない生活者が多いのも事実。成長過程のサービスの最新プロモーションを取材した。
業界別販売促進
健康志向の高まりに加え、2020年東京オリンピック開催の話題性も相まって追い風が吹くスポーツクラブ業界。一方で、スポーツクラブ会員は人口の約3%とも言われ、拡大の余地が大きい市場でもある。近年は女性専用フィットネスクラブやマシン特化型の小型ジムなど業態も多様化し、競争がますます激しくなっている。ここでは総合型スポーツクラブを中心に集客の取り組みを取材し、スポーツクラブの今後の可能性を探った。
無理なく続けられる料金プラン
コナミスポーツ&ライフ/利用頻度に応じて選べる料金プランをパンフレットで説明。入会キャンペーンでは、「隔週(月2回まで)プラン」の料金で何度でも利用できる特典を用意し、まずは自分のペースをつかんでもらう。「週1プラン」の利用者が最も多い。
「何ができるか」を伝える
コナミスポーツ&ライフ/コナミスポーツクラブなら、体の悩みを解決できることをメッセージ訴求した夏のキャンペーンチラシ。
スポーツクラブ最大手の「コナミスポーツクラブ」は、13年7月、従来の定額月会費制を見直し、全面改定に踏み切った。利用頻度に応じて4通りから選べる従量課金制を導入、さらに全国の施設を4つのカテゴリーに分類し、4×4=16通りの月会費プランから自由に選べるようにした。プラン自体も月ごとで変更することができる。「従来の定額制では、『月会費の元が取れずに損した』という不満から退会につながるケースも多かった。新料金体系では、選択したプラン自体が通う頻度の目標になるため、続けるモチベーションになっています。継続率も伸びています」(コナミスポーツ&ライフ マーケティング部の高原隆一氏)。
料金体系改定の背景には、過度の価格訴求から脱却する狙いがあった。以前は、入会特典として初期費用を0円に割り引くといった価格訴求キャンペーンを行っていたが、「それによって一時的に入会者数が増えるものの、割引期間が終了すれば離脱しやすいことが問題だった」(高原氏)。価格訴求に代わる効果的な方法を模索した結果、たどり着いたのが、「無理なく続けられるスポーツクラブ」としての差異化戦略だった。
入会キャンペーンで訴求するのは、価格ではなく、料金プランの使い勝手である。キャンペーンは、利用者が料金プランを理解し、使いこなせるようになるよう設計されている。期間中に入会すると、最初の2カ月は「隔週(月2回まで)」プランの月額4,428円で全国どの施設でも何度でも利用できる特典が得られる。その間にスポーツクラブ通いのペースをつかみ、3カ月目からは自分の選んだプランで始めるという流れだ。自分に合ったプランを選べるため初心者にもハードルが低く、入会者の初心者比率は6割超に増えた。
この夏の入会キャンペーンからは、続けやすいことに加え …