セールスコピーの役割はクロージング。つまり最後の背中押しだが、店頭テクノロジーが台頭する時代、店員の役割、マス広告の役割などはどう変化していくのか。その中でセールスコピーはどう考えていけばいいのか。
Reebok「ZIGTECH」
「反則?」というセールスコピーによって、デザインが売りのシューズではなく、高機能シューズであることを気づかせた。
大学時代、デパートの店頭で洋服の販売員やってまして…
大学時代、ほとんど授業に行かないで昼から働いていたんですけど、アパレルからの派遣で、デパートで洋服の販売員をやってたんですよ。そこでまず教えられたのは「ズボンを売ったらベルト売れ。ベルトを売ったら靴を売れ」。いや実際、「あ、お客さん、せっかくいいベルトお買いになったのに、その靴とちょっと合わないかもですねえ……。ちょうどいい靴が入ったばかりなんですけど、見てみます?」とか言うと、客側も一回財布を開いちゃってるから、そのまま靴買ってじゃあ上物も買って、しまいには革ジャンまで買って、みたいなことになったりするんですよね。それが僕が最初に学んだセールスコピーです。僕はなぜか売るのがうまくて、デパートから売上げ1位で表彰状もらったこともあるんですよ。「売るって楽しいな」と。それで営業志望で就活したはずがなぜかクリエイティブに配属されたという……それは余談ですが。で、昔僕らが使ってたセールスコピーを今はテクノロジーがやっちゃうんですね。ビッグデータで、「そういうベルトを買うあなたに相応しい靴はこれでしょ」ってお客さんのスマホにその場でリストアップされるという。「セールスコピー」というと店頭POPの文言を連想する方が多いと思うんですけど、これからはそういった店頭テクノロジー、店頭へ誘引するテクノロジー、マス広告、店員、それらの役割をどうするか再整理する必要が出て来るでしょう。その中で、セールスコピーはどうあるべきか、という話になっていくのかなと思っています。
数年前のテクノロジーですが…Reebok「AR店員」
数年前、ちょうど「AR」という技術が出て来た頃の話ですけど、Reebokからこんな依頼がありまして。
「スニーカーの機能のことを店頭でちゃんと説明したいんだけど、派遣の店員を置く余裕もないし、気の利いた店頭パンフみたいなの作れない?」と。
それで、僕は「じゃあAR店員とか置いたらどうですか」と言ったんですね。スマホを通して見ると、スニーカーの中に小さい店員がいて、そいつがいろいろ解説するとカワイイんじゃないかって。そりゃ新しいな、ってことになってアプリ作ったんですけども。当時の技術だとなかなか制約が多くて難儀したんですが、今はVR、SRの時代ですからね。そこに等身大のキャラが店員として立っている、みたいな見せ方だってもうできます。等身大のきゃりーぱみゅぱみゅが店頭で自分のCDを薦める、みたいなことだって可能だし。お客さまが手に取った物に基づいて見え方が変わる店内サイネージもありますよね。ちなみに僕が顧問契約している会社は等身大「フィギュア」の独自技術を持ってますが、等身大「パネル」はすぐに古くなると思いますよ。なんかこんな話をしてると、テレビCMとか古代の遺物を作ってるような気になっちゃいますね。これからは店頭が最先端ですよ。
店頭テクノロジーが台頭すると、店員の役割は?
クリナップ
セールスコピーを、木訥・誠実さが感じられる人物に語らせて売上げを伸ばした。
これは聞いた話で恐縮なんですが …