日清食品「カップヌードルライトプラス/みつめてLight+」や、味の素ゼネラルフーヅ「トリプレッソ/Music of THE TRIPLE」「ブレンディボトルコーヒー/又吉BOOKボトル」など、ネット上はもちろん、マスメディアでも多く取り上げられて話題を広める企画=「バズる企画」を数々手がけてきた電通の宮地成太郎氏。「三度のメシよりバズが好き」という宮地氏が語る、話題を広める動画コンテンツの秘訣とは。
タレント起用動画に再注目
ジャン=クロード・ヴァン・ダムさんを起用し、逆走する2台のトラックにまたがって十八番である「股割り」を披露したボルボ・トラックスの動画。莫大な制作費や媒体費がかけられなくても、タレントをうまく起用できれば、話題化する動画を企画できる。キャンペーン全体のトーン&マナーを担保できるのもメリットだ。
バズの代償に何を差し出すか
─ずばり、「バズらせる」ために必要なものは何でしょうか。
メディア露出を獲得するには代償が必要です。「制作費」「媒体費」「タレント費」いずれかが求められます。制作費をかけて、本当に誰も見たことがない、質の高さで話題を獲得する映像を作るか。露出先を予め獲得するべく媒体費をかけるか。どちらも選べなければ、タレントの求心力を活用する。
もし、いずれも予算の都合上、難しければブランド価値を毀損するリスクを前提にチャレンジするしかありません。奇抜な表現の映像を作るということですが、目的に帰結しづらくもなります。話題にはなったものの売り上げに寄与したのかと考えてみると、疑問符が浮かぶ広告も少なくないのではないでしょうか。
─なるべく予算を抑えつつ、ブランドの整合性も保つ。そんなバズの方法はあるのでしょうか?
ベターな解決策は、タレントの起用になると思います。ファンなど求心力があるので一定の話題化が担保できる上、キャンペーン全体を見てイメージコントロールがしやすいメリットもあります。
代表的な動画は、米ボルボ・トラックスの「Epic Split」です。往年のアクションスター、ジャン=クロード・ヴァン・ダムさんを起用し、逆走する2台のトラックに足をかけて股割りをする映像が全世界で話題になりました。
ブランドにとっても、ステアリング性能の高さや、走りの安定性のアピールにもつながっています。2台のトラック走行がほんの少しズレただけで落下の危険があるわけですからね。
ヴァン・ダムさんと言えば往年の映画スターで、劇中で股割りは頻出のアクション。ファンにとってはこうしたお約束が嬉しい。そして彼を知らない世代をも引きつけたのは、とても叙情的な仕上がりの映像でやっていることは股割りという、大真面目にバカバカしいことをするギャップ。だからこそ、たった1カ月ほどで約6063万回再生される話題化につながったのではないでしょうか。
テレビCMなどマス広告と同じトーン&マナーを守れるバズ動画を作る場合、マスと動画の橋渡し役になるのがタレントです。もちろん、そのタレントにピッタリの企画があってこそなのは、言うまでもありませんが。
─タレントを起用したCMをそのまま流せば、話題化も狙える?
それは …