7月8日、東京・青山にて「ブランドエクスペリエンス」をテーマにセミナーが開催された。メディアやテクノロジーの発達に伴い、生活者とのタッチポイントが増える中、あらゆるチャネルでの体験によって形づくられるブランド体験の重要性が増している。本セミナーでは、より優れた顧客体験を提供しようと取り組む3社が登壇した。
適切な情報を適切なタイミングで
「個客マーケティング」をいかに実現し、ブランド体験を良いものにしていくかを講演したのは、ネット通販事業を行うマガシークの高松貴宏氏。同社が運営するファッションECモール「MAGASEEK」は当初、ファッション誌掲載の商品を購入できるビジネスデルだったが、環境の変化から、「自分のためのセレクトショップ」をコンセプトにリニューアルを行った。顧客の属性や閲覧履歴に応じ、バナーの出し分けを行い、ブランドや価格帯の異なる商品を提案する。高松氏は、個客マーケティングの鍵を「適切なお客さまに、適切なタイミングで、適切な内容を届けること」と指摘。画一的なメール配信は効果が低いため、例えば「欲しいものリスト」に商品を登録している顧客に向け「値下げしました」といった情報を送るなど、買いたい気持ちを高めている。また直近購入の有無や、購入回数などに合わせ付与するポイント数を変え、より効果的なアプローチも模索。アプリを使ったプッシュ通知をはじめ、One to Oneのアプローチを強化する考えだ。
アプリで顧客体験を向上
モバイルコミュニケーションでの顧客体験向上について講演したのはアドビ システムズの岩本崇氏。「モバイル体験はアプリであってウェブではない」と話し、ユーザーの滞在時間がアプリに集約されている実態を解説。同社が提供する、モバイルアプリの制作・配信・解析のソリューション「DPS」での成功事例を紹介した。キヤノンのカメラレンズを訴求するアプリでは、どれだけ望遠ができるのかなどを試せるギミックを加え、分かりやすく魅力的に伝わる仕掛けを駆使した。豊富に作例を載せるだけでなく、どの情報がよく見られているのかを分析し、コンテンツづくりにも活かしている。またリコーでは、製品の疑似体験ができるアプリを使い、営業パーソンが商談しているという。製品そのものを持ち歩かずとも提案ができ、何が頻繁に提案されているかも解析する。これまで紙媒体で提供していた情報をアプリ化した三菱UJFニコスの事例では、配送コストが3割削減。企画からリリースまで2カ月とスピーディーだった。DPSでは、テレビ、ラジオ、紙媒体、ウェブ広告、パワーポイント資料など、コミュニケーションで使う材料をすべて活用できる。さらに何が、どれぐらい見られているのか、効果測定できるのが特徴。アドビ システムズでは無償のトライアルも用意し、モバイルを通じた顧客体験の向上を支援していく構えだ。
顧客を想い続ける
「ブランドらしさ」を根付かせる取り組みを講演したのは、クレディセゾンの相河利尚氏。「女性をメインに支持され、永久不滅ポイントなど新しいことを生み出すカード、顧客に寄り添ったカード」がクレディセゾンらしさだと語った。同社の顧客とのタッチポイントは、ウェブ、セゾンカウンター、明細書情報誌、個別DM、マスメディアとあり、一例として、タレント・空手家の武田梨奈さんが衝撃の瓦割りを見せるテレビCMや、連動ウェブドラマを紹介。「だって好きなんだもん」と顧客から支持されるクリエイティブを目指している。またカード管理ができるアプリ「セゾンPortal」にビーコン機能を追加するなど、新たな試みにも挑戦。「ビッグデータの活用で、次のお客さまをいかに創造し活性化するかは、ビジネスセンスが問われるところ」と意気込む。また「人生に寄り添える事業」として、子育てや介護などライフスタイルに応じた取り組みも構想中だ。どうしたらより顧客のためになるのか、顧客を想い続けることで、ブランドエクスペリエンスの向上につなげている。
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