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共通ポイント

機能するポイントプログラムを構築・維持する方法

冨田勝己(野村総合研究所 上級コンサルタント)

目まぐるしい動きを見せる共通ポイント。そもそも、ポイントというシステムが人々に浸透し始めた10数年前と何が変わり、いまどのような影響力を持ち、勢力図はどうなっているのか。また、共通ポイントだけではなく独自ポイントも含め、ポイント運営では何に気を付けるべきなのか。CRM分野を専門に持ち、ポイントプログラム導入に関する支援や、会員組織を生かしたサービス改革を手がける冨田勝己氏に聞いた。

今や誰もがポイントをもらうが、誰にでも効果があるわけではない

ポイントプログラムは家電量販店やドラッグストアから航空、鉄道、バスに至るまで、実にさまざまな領域で導入されている。野村総合研究所が日本の生活者約1万人を対象として2013年に実施したアンケート調査によると、93.5%の人がなんらかのポイントを貯めていた。今や、誰もが当たり前のようにポイントを貯めるようになったのだ。

一方で、誰にでも効果があるわけではない。同調査によると、ポイントがつくかどうかで購入する店舗が変わると回答している人は56.9%と、過半数の人がポイントによる影響を受けるものの、残りの4割強の人はポイントによる影響を受けない。またこの影響は業種によっても異なる。スーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアなどでは影響を受ける人が多い一方で、鉄道・バスや百貨店などではやや少ない。

取引頻度が高く、商品・サービスでの差異化が困難な業種ほど有効

ポイントプログラムには、
(1)新規顧客獲得
(2)囲い込み
(3)育成(年間取引額向上)
(4)相互送客
といった効果があるが、市場における競争が激しく、商品・サービスなどでの差異化が困難になるほど、その効果を発揮しやすい。また、取引頻度が高くなるほど、顧客はポイントプログラムの存在を認識する回数が多くなるため、効果を発揮しやすい。

ポイントプログラムを導入している各業種をこの2つの特性によっておおまかに整理したものが図表1である。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどではポイントプログラムの効果が特に発揮されやすいが、レストラン(メニュー)や学習塾(教育内容)、鉄道・バス(路線)などは商品・サービス面での差異化が比較的容易であるため、その効果は若干減じる。また商品・サービス面での差異化が困難な業種でも、航空やホテルなどでは取引頻度が比較的低いため、同様に効果が減じる。

ただし、これらはおおまかな傾向であり、ポイントプログラムの運用の巧拙によって、その効果は大きく異なる。例えば家電量販店におけるポイントプログラムの影響力は中程度であるが、付与するポイントの割合を高め、かつ少額でも使えるようにすることで、その効果を強化している企業もある。

そのほか、より多くの消費者に利用されている共通ポイントの導入によって、その業種単体では得られない効果を獲得することも可能である。その点で共通ポイントは、さまざまな業種でのポイント獲得と使用が可能という利便性から消費者の支持を得やすい。また独自のポイントプログラムを運営する場合に比べて比較的高い効果を得られるケースが多い。具体的に現時点で有力なものとしては、Tポイント、Pontaポイント、楽天スーパーポイントが挙げられる。

勢力を拡大し続ける共通ポイント陣営

2014年の段階でリアルとウェブの融合をそれぞれに果たしてきているTポイント、Pontaポイント、楽天スーパーポイントだが、2015年に入ってからもそれぞれに提携先を拡大し、勢力を強化してきている。(図表2

Yahoo! Japanグループやソフトバンクでも既に導入されているTポイントは、2015年4月には家電量販店のエディオン、5月には東京電力、6月にはJR九州、7月には東武ストアと、立て続けに有力企業との関係を構築してきている。また、リクルートポイントとの相互運用が始まっているPontaポイントに関しても、2月にはカラオケ本舗まねきねこ、5月には東京電力やNTTドコモ、6月にはJR九州との連携を発表している。TポイントとPontaポイントは電力会社の中で最大の顧客基盤(約2700万世帯)を有し、関東圏では圧倒的な市場シェアを有している東京電力を加盟店に加えたことによって、関東圏での会員規模拡大を図る。さらに、2016年4月に完全自由化を迎える電力業界、更には翌年に自由化を迎えるガス業界において、その影響力を高めていくことが予想される。また、家電量販店業界大手のエディオンによるTポイントの導入は、同業界初の共通ポイント導入であり、この影響力も無視できない。一方でPontaポイントも、NTTドコモのdポイントとの相互交換を発表しており、携帯電話業界でTポイント(ソフトバンクが導入)に付けられた差を挽回するための足がかりを得た。

2015年の三者の新たな企業連携状況を見ると、現時点では楽天スーパーポイントがやや低調であるように見える。ポイント自体の機能強化、サービス強化を行っているものの、企業間連携に関してはガソリンスタンドを運営する伊藤忠エネクスとの提携のみである。ただし、この提携は今後の共通ポイント同士の競争を激化させる要因をはらんでいる。伊藤忠エネクスは一部地域ではエネオス(Tポイントを導入)や昭和シェル石油(Pontaポイントを導入)のブランドのガソリンスタンドを運営しているため、実際のサービス開始が予定されている秋以降、これらの店舗での共通ポイントのマルチブランド化(もらえるポイントを選択できる状態)が発生する可能性がある。東京電力のケースも同様だが、仮にマルチブランド化が加盟店にとってプラスの効果となるのであれば、この動きは他社、ひいては他業種へと波及していく可能性もあるため、決して軽視できない影響力を有している。

このように、三者三様ではあるが2015年もそれぞれに大きな動きを見せており、互いに競合しながらも、その会員基盤を一層拡大していくことが予想される。なお、各社が公表している会員規模はそれぞれに定義が異なっているために、単純に比較するとその実質的な規模を読み誤ってしまう可能性が高い。ちなみに野村総合研究所が2013年に実施した前述のアンケート調査では、保有率が最も高いのはTポイント、次いでPontaポイントであった。

共通ポイントに名乗りを上げたドコモ

共通ポイント同士の競争を激化させる要因は、上記だけではない。NTTドコモが参入してきたことも、新たな要因として挙げられる。NTTドコモは今年の5月にポイントプログラムを刷新し、名称を「dポイント」に改めた。それまでは基本的には自社グループ内でしか使えないようになっていたサービス内容を改め、グループ外での加盟店でdポイントが貯まるだけでなく、使えるようにしたのだ。その第一弾がコンビニエンスストアのローソンである。

dポイントの影響力は非常に大きい

共通ポイントとしてはグループ外加盟店が1社(1業種)と少ないが、その影響力は非常に大きい。その理由は4つある。1つ目は、ドコモの会員プログラムであるドコモプレミアムクラブに加入している会員が約5,400万人いることである。このほとんどがアクティブ会員であるとするならば、その規模はTポイントと同程度。それだけでも共通ポイント事業者としての存在感を発揮できる。

2つ目は ...

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