
「CRE戦略と物流イノベーションフォーラム」会場の様子。参加者からは「CRE戦略について今後検討していきたい」「良い気づきになった」「ビジネスチャンスとして活かせるヒントを得ることができた」と好評。成約には最低でも1年を要す。継続して情報を提供し、見込み客を文字通り「育て」ていく。
商品・サービスの情報や評判は、高機能化した携帯端末で時間や場所を問わず調べられる。「シェア」される話題もその一つだが、高価格な商材の場合、それだけでは人々の背中を押すことはできない。米国のマーケティング顧問会社CEBは、「現在、B to B取引では、商談前に購買するかを決める担当者が半数を超える」との調査結果を発表している。情報は商談前にあらかた集め終えていて、検討の場ではなくなってきているのだ。
こうした状況下では、マス広告だけで広く商材を知らしめた上で営業攻勢をかけていくのでは、なかなか顧客を獲得しづらい。一方的に情報を届けるのではなく、求められている有益な情報を用意し、顧客の側から情報を取りに来てもらうことが重要視されはじめた。適切な内容を提案できれば、見込み顧客として文字通り「育てていく」ことができる。
大和ハウス工業は、セミナーを通じて、こうした顧客獲得を進めている企業の一つだ。5年前から医療介護のセミナーに協賛し、講演している。過去4回、15会場で開催したセミナーへは、定員2970人に対し、5094人の申し込みがあったという。
今年3月、大和ハウス工業は新たに、「CRE戦略と物流イノベーションフォーラム」(主催=日本経済新聞社クロスメディア営業局)に協賛した。同社は2002年から独自の物流施設コーディネートプロジェクトを進めており、13年には「DPL(ディープロジェクト・ロジスティクス)」というブランドを設けて、事業拡大を図っている。「CRE」は「Corporate Real Estate」の頭文字で、企業が持つ不動産のこと。国土交通省の調べでは、国内不動産の総額は約2300兆円だが、このうち約490兆円がCREだ。近年、人口減やグローバル化といった社会構造の変化も追い風となって、CREを企業価値向上の視点から見直して不動産投資の効率化を図る「CRE戦略」が注目されている。先鞭をつけた企業も多い。
半面、不動産を持つことを“ステータス”と捉えていて資本として運用する考え方がない ...