イベントが、ほかのプロモーション施策よりも得意とするのは、五感を通じた体験によって、心に深くメッセージを届けられる点だ。しかし、それだけに同時に体験できる人をあまねく広げていくことは難しい。そこで、現場で体験できなくても、疑似体験・追体験によって話題を広げていくことが課題となる。ここではイベントを着火点としてメディアに取り上げられたり、消費者の口の端にのった海外事例を紹介する。
リアルとオンラインで同時開催
チューリッヒの街を舞台に
繰り広げられる逃走劇
GPSを活用してメルセデス・ベンツの新型車から逃げ回る施策。安全面を担保するため、
参加者の移動速度を時速12キロ以下に制限するといった工夫も。
メルセデス・ベンツは5月29日、スイス・チューリッヒ市を舞台に、スマートフォンアプリを活用した一般参加型の“逃走ゲーム”、「Gross. Stadt. Jagd(素晴らしきシティハント)」を開催した。メディアパートナーには地元の日刊フリーペーパー「20minuten」も参加。事前の話題作りに一役買った。
新型車「CLA Shooting Brake」のプロモーションイベントで、集まった参加者は3212人。それぞれのスマホにダウンロードした専用アプリが表示するのは、自分の位置と、「狩人(ハンター)」の位置。ハンター役は、「CLA Shooting Brake」自身だ。このクルマに設定された「捕獲エリア」内に一定時間滞在すると、参加者に設定された「体力ゲージ」が減っていってしまう。0%になる前に逃げ切れなければゲームオーバーだ。
市内には、ゲージを回復したり、捕獲エリアを一定時間小さくするなど、複数種類のパワーアップ・アイテムが配置されている。逆に、接触すると体力が大幅に減ってしまう「爆弾」も隠されており、逃走者たちは気を抜くことができない。企画に参加する各店舗を「セーフハウス(安全地帯)」としたり、アイテムの効力が増す「チェックポイント」としながら、体力ゲージを維持しきれば勝ち。優勝者には、そのまま「CLA Shooting Brake」がプレゼントされる。
同イベントは、その場にいない人も楽しめるよう、同時にオンライン向けの企画も用意した。ネットでの参加者は、ハンターである「CLA Shooting Brake」を助ける役回り。ウェブブラウザ上で地図を見ながら、「逃走者はどこにいる?」といったハンターからの質問に答えていく。優秀な成績を収めた参加者には上位5人に賞品が贈られた。
現場で参加できない人が楽しめるネット施策は他企画でも参考になりそうだ。
サッカー・W杯試合よりも高い視聴率
イースター・バニーがもたらす
幸運の50%キャッシュバック
初日のレースはハナ差で3番のウサギが優勝。
翌日以降も注目を集める試合運びとなった。
「復活祭(イースター)」は日本では普及してはいないが、西欧では年間での主要なイベントの一つだ。各家庭は「カラフルに彩られた卵を探す遊び」を楽しんだりするが …