非・日常の日常が好きなワタシ
2024年――日本のインバウンド(訪日外国人数)が過去最高を更新した。同年11月の時点で、それまで過去最高だった2019年を上回ったのだ。特筆すべきは、そのリピータだったことである。
「買う」5秒前2
ヒット商品から消費者の「これ、なんで買ったんだろ?」をひもといた本『買う5秒前』の著者、草場滋氏と、タカラトミーのヒット商品「プラレールアドバンス」のマーケティング担当者 檜垣真一郎氏による対談が、都内で開かれたイベント「AdverTimesDAYS」にて行われた。ここではその一部を紹介する。
指南役 代表 『買う5秒前』 著者
草場 滋氏
タカラトミー
ベーシック事業部 プラレール企画部 マーケティング課 課長
檜垣 真一郎氏
『買う5秒前』より「オプションに弱いワタシ」。プラレールの既存レールをそのまま使用できる「プラレールアドバンス」は、車両を買い足せば遊べるので、プラレールを持つ家庭では、同商品を「オプション」と認識、財布のヒモも緩みやすい。
草場▶ 人がモノを買う理由は6つあるといわれています。必要、お得、好み、流行、見栄、そして義理。しかし僕らがものを買う理由は、この6つに必ず当てはまるものではなく「これ、なんで買ったんだろ?」というのがほとんど。ヒット商品から購入の最後の一押しになったものの正体を探っていくと、商品やサービスのアイデアを考えるときのヒントになります。「プラレールアドバンス」は、2011年に発売のヒット商品ですが、その特徴は50年以上も子どもたちに親しまれている「プラレール」の既存レールをそのまま使えることですよね。単線仕様だったレールを複線使用にして片側走行できる。一からレールをそろえなくていいから、プラレールの「オプション」商品と認識した家庭では、財布のひもが緩みやすかった。
檜垣▶ そうなんです。プラレールはレールがあることが強み。レールに普通に車両を乗せる以外の使い方はないだろうか、とずっと考えています。実はプラレールアドバンスの企画が最初に持ち上がったのは1999年と古い。しかし当時は事業性が見えず実現しませんでした。2007年に鉄道博物館がオープンし、そこに、カップルがデートとして来るようになったり、鉄道アイドルが出てきたりして、市場が変化したことから、もう一度この企画が動き始めました。
草場▶ 2007年は「鉄子」が流行語大賞の候補に入った年ですね。それまでは鉄道オタクというと、男子の非常にマニアックな趣味だったものが、女性も「実は私も鉄道が好き」とカミングアウトした年が、2007年なのです。
檜垣▶ 鉄道ブームに乗り、プラレールアドバンスの「訪問モニター」を行いました。そこでニーズがあるかどうか見極めようとしたのです。これまで見たことがない商品というのは、最初はモニターの反応も鈍いものですが、次第にお子さんたちが熱中するポイントが出てきたのです。それがカーブで、二つの車両がギリギリにすれ違う部分 …