販促活動を進化させるテクノロジーを大きく2種類に分けるなら、一つは自社ブランドとの親密度を上げる顧客体験を高めるもの、そしてもう一つは、水面下で、より詳細な顧客像を描き、適切な販促メッセージを届けるための「データの分析収集・活用」だ。ここでは、「データ活用」について考えてみたい。
COLUMN 01
オンラインからのデータ提供が加速

消費者データの活用に最も積極的なのはソーシャルメディア企業だ。最大手の米フェイスブックは4月、14億人に上る利用者を基盤とした定性的な消費者データを、広告世界最大手WPPと提携してマーケティング活用につなげると発表した。WPPグループの中で実行部隊となるのは、ダイレクトマーケティングで知られるワンダーマン傘下でデータマーケティングを手がけるKBMグループほか2社。そしてメディア代理店のグループエムだ。市場調査会社カンターも加わるという。
具体的には、Facebook上で交わされる会話から、「トピックデータ」と呼ばれる企業や商品への関心などを探る。例えば「湿度が高い日に、髪型がまとまらないことを嘆くFacebook 利用者は、どんな層か」といったものだ。こうした「トピックデータ」を、例えばヘアスタイリング剤を扱う企業に提供し、広告のみならず、マーケティング全般に活用しようとしている。
オフライン側からのデータの活用、特に購買データと、オンラインでの消費者行動データを連携させよう、という動きが次第に活発化している。最も大きな動きとしては、広告会社世界最大手WPPだ。同社のマーティン・ソレルCEOは、英小売大手テスコ傘下で、大量の購買データの収集・分析を手がけるダンハンビー買収に興味を示している。WPP傘下VML TOKYOで代表を務める荻野英希氏は、「自然な流れだ」と明かす。
ダンハンビーは、毎週10億個規模の商品購買データを集め …