全国に98店舗を展開するロフト。従業員はアルバイトも含めると約4800人。独自に開発した単品管理システムを駆使し、仕入れは自社で。テーマ性のある品揃えは同社の強みだ。昨今では、産学連携の売り場づくりも強化する。「ちょうどいい接客」を探る取り組みもスタートした。
ロフト 代表取締役社長 執行役員社長 内田雅己氏(うちだ・まさみ)
1975年西武百貨店入社。企画・政策立案部門の責任者や店長を歴任。西武池袋本店のリニューアルプロジェクト、そごう・西武のEC立ち上げなども担う。11年そごう横浜店長に就任。13年より現職。かつてはミュージシャンとして渋谷ジァン・ジァンで演奏したことも。いま気になるものはウェアラブル端末やITガジェット。これらを用いた売り場づくりも計画中。
貴社にとっての現場力とは
仕入れ権限が各店舗、つまり現場にあることです。ロフトでは商品部のバイヤーが、扱う商品をデータベースに登録し、その中から各店がそれぞれ発注していきます。ロフトの取り扱い品目は、大型店で10万SKU、標準店でも3万SKUにのぼります。
私は長らく百貨店におりましたが、着任してまず驚いたのは、この自主仕入。百貨店とは違い、ロフトは膨大な商品を管理する「単品管理システム」を独自に開発し、日々店頭を見ている現場が仕入れをする仕組みを築いていました。
自ら発注を行えば、商品が売れたり売れなかったりする理由がどこにあるのかを考えるようになります。「データ上は20個が最善だけれど、在庫日数も短いから100個仕入れて勝負しよう!」といったことを、自ら考えることは非常に大事です。自分で仕入れたものを売る。これは小売業の原点です。
着任当時は、売上高前年比が95%台と業績は思わしくありませんでした。原因は品数の増えすぎ。5年で店頭のSKUが25%近く増えていたため、死に筋商品を整理し、常に新鮮な商品が並ぶようにしていきました。単品管理システムで、売れている商品、売れていない商品を、確認しながら、現在は毎日600以上の新商品をデータベースに追加し、年間で20万SKUが入れ替わっています。
ただ棚に陳列した商品のひとつが入れ替わっても、お客さまはその変化に気づきません。そこで「房」という考え方により …