
消費者が商品のセレクトを企業に任せる時代
「ソムリエ型マーケティング」という言葉を聞いたことがあるだろうか。この概念を生み出したのが佐藤正弘准教授である。
ここ10年、企業と消費者が共に商品を作る「価値共創型マーケティング」が主流だと言われてきた。
「自分の生活を振り返ってみたときに企業と一緒になって商品を作ったこともないし、周りでも聞いたことがない。本当に『価値共創型マーケティング』の時代なのかと思ったんです」。
疑問が芽生えた佐藤准教授は2013年に、アンケート調査を行った。その結果、10年前と全く同じ質問内容であるにもかかわらず、消費行動に大きな差は見られなかった。
そこで、ある研究結果をもとに仮説を立てたのだ。その研究結果とはコロンビア大学のシーナ・アイエンガーによるジャムの実験によるもの。24種類のジャムを試食させたときと、6 種類だけの場合を比較した。前者では、人は集まるが売り上げにはつながらず、後者では、人は集まらないが売り上げは高かった。
「そもそも、人は選択することが苦手だというわけです。選択肢があふれている社会で、私たちの情報処理能力にも限界があります。そんな中で、企業と一緒に商品を作ることができるのだろうかと疑問はふくらみました」
その後、佐藤准教授はあることに気付いた。専属のスタイリストが自分に似合う洋服を提案する、プロが目利きして商品を送ってくれるというサービスが拡大しているのだ。消費者が自ら選ばずに …
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