7月にはPontaポイントとリクルートポイントが相互交換を開始し、また、ソフトバンクがTポイントを導入、10月にはサークルKサンクスや大丸など、10社以上の実店舗で楽天スーパーポイントが貯まるようになった。2014年は、PontaポイントやTポイントはウェブや通信、楽天スーパーポイントはリアル店舗へと、それぞれに欠けていた重要な要素を補完した年であった。どの共通ポイントもリアルとウェブの双方で利用できるようになったことにより、競争環境は、新たな局面を迎えつつある。
三大共通ポイントの動き
リアルとウェブの融合を果たしつつある共通ポイント。状況はそれぞれに大きく異なる。楽天スーパーポイントは、ECで圧倒的なシェアを誇る楽天が発行しているため、EC利用者に広く浸透している。一方でリアル店舗での利用はまだ始まったばかりであり、また、この領域で先行するTポイントやPontaポイントと比べて加盟企業の数・店舗数ともに見劣りする面があるため、当面はリアル店舗での普及促進に苦戦すると見られる。
リクルートポイントとの相互交換が始まっているPontaポイントに関しては、2015年春にリクルートポイントの統合が予定されている。統合後は、ウェブではリクルート、リアルではローソンや昭和シェル、ゲオなど、それぞれに用途が幅広く存在しているため、会員拡大・利用が進んでいく可能性が高い。
Tポイントは13年のYahoo!ポイントとの統合によって、上記二社に先んじてリアルとウェブの融合を果たした。14年はソフトバンクにも導入されたが、以前からリアルではファミリーマートやTSUTAYA、ENEOS、ウェブでは手数料無料によって大幅に出店企業を増やしたヤフーを有するなど、リアルとウェブそれぞれで有力な企業が加盟している。各社の相互送客によって、会員規模や利用頻度は一層拡大することが予想される。
なお、こうした共通ポイントの会員規模は数千万以上となっているが、各社の公表数値は定義が異なる。Tポイントは名寄せをした、かつ、直近1年間にポイントを利用した会員の数をアクティブ・ユニークユーザー数として5151万人(14年11月末時点)を公表している。一方、楽天スーパーポイントの9556万人(2014年9月末時点)やPontaポイントの6684万人(2014年11月30日時点)は、登録会員数である。それぞれを実際に利用している人の規模を見極める際には、こうした違いを認識しておかなければ、ポイントの活用方法を見誤ることになるので注意が必要である。ちなみに野村総合研究所が日本の生活者約1万人を対象として訪問留置法で実施したアンケート調査(2013年実施)の結果によると、保有率が最も高いのはTポイント、次いでPontaポイントであった。
サービス内容を見直す企業
それぞれの共通ポイントが勢力を伸ばす一方 ...