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2014年新市場を切り開いたヒット商品

「カゴメトマトジュース」香港に拡販ポテンシャル

カゴメ

カゴメは2014年夏、トマトジュースと野菜飲料「野菜生活100」のアジア向け輸出を開始。特にトマトジュースは、健康意識の高まりに乗り、発売3カ月で20万本のヒットとなった。国内生産品を輸出することでアピールするのは「ジャパンブランド」。香港からアジアへとその勢いを広げようとしている。

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日本国内で見慣れたパッケージとほぼ同じ。カタカナの「カゴメトマトジュース」と、「Made in Japan」の表記で日本ブランドをアピールする。

カゴメのトマトジュースが香港でヒットしている。日本生産商品を2014年6月に発売し、輸出をスタートさせた。これまで中国・杭州の現地子会社「可果美杭州」が製造したものを販売していたが、輸出に切り替えてからの7~9月は約20万本を売り上げた。香港の人口がわずか700万人ということを踏まえると、単純計算で35人に1人が買ったことになる。「アジアのショーウインドウ」の二つ名を持つ香港を訪れる流入人口は5000万人規模、1億人に向かっているという試算もある。この地でトレンドとなれば、周辺エリアでの売り上げも高まっていく効果が見込める。今回の結果を受け、カゴメ広報は、「カゴメの品質は世界で通用する。香港は特に世界の中でもカゴメブランドが深く浸透する可能性がある」と自信を見せる。

ヒットの追い風となったのは、現地消費者の健康意識の高まりだ。野菜ジュースなどの健康飲料が支持を集めており、特にトマトジュースはここ数年、香港で大きく伸びた。カゴメが中国でトマトジュースを販売するのは09年からのことだが、13年は売り上げが前年比で7倍と急伸している。

こうした足元の好調さから13年7月、香港向け商品の開発に踏み切った。日本から海外向けに飲料を輸出するのはカゴメとしても初の取り組みだ。他社を含めても、食品や飲料は日本向け製品のラベルを張り替えて輸出するか、現地生産するのが主流で、珍しい。

もともと香港は日本製品が人気を集める市場でもある。カゴメ広報によれば「需要が高い順に、1位日本、2位韓国、3位東南アジア諸国、4位中国」だという。農林水産物輸出の全体の2割が香港向けとも言われている。「日本製」を前面に押し出すことは、輸送コストをかけるだけのメリットがあると踏んだ。

“本物”にこだわる香港消費者の味覚

香港向け商品の開発にかかった期間は約9カ月。現地の担当者は期間中、ほぼ毎日コンビニや飲食店での顧客の行動を定点観測し続けたという。試作は10回を超え、計500人の現地消費者を対象に、味覚調査を繰り返した。徹底して現地の味覚に合わせたのは …

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