2014年4月、イオンの参入を皮切りに、大きく花開いた「格安スマホ」。大手の約半額で利用でき、料金プランも分かりやすいことで、主婦やシニア層の取り込みに成功している。拡大の背景と、注目の3社の取り組みを紹介する。
写真上/「イオンスマホ」の売り場。店舗を生かすことで、オンライン購入に不安を覚える消費者の取り込みに成功した。
写真下/「イオンスマホ」第4弾として導入した富士通の日本製端末「ARROWS M01」。主要ユーザーの55歳以上の世代が操作しやすいよう、使用頻度の高い「電話」「メール」などを分かりやすく配置する機能も搭載している。
「格安スマホ」普及に
店頭展開が貢献
2014年は「格安スマホ」躍進の年だった。日本経済新聞14年11月13日付の推計によれば、国内の利用台数は100万台を突破。半年間で倍増したという。
普及の呼び水となったのは、平均でも月額3000円前後という利用料金の安さ。最安値では月額1000円を切るものもある。端末代金とデータ通信・音声サービス料だけという分かりやすい料金プランも特徴だ。こうした点が、これまでスマートフォンを遠ざけていた主婦層やシニア層の心をつかんだ。
異業種からの参入が相次いだことにも注目が集まった。イオンが4月に発売したのを皮切りに、14年下期も、楽天やカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、DMM.comが相次いで登場した。
「格安スマホ」のメインプレーヤーは「MVNO」。MVNOとは大手携帯電話会社から通信回線を借り、携帯電話事業を行う事業者で、総務省はMVNOの契約数を16年中に約1500万件まで伸ばす方針。14年3月時点の739万件から倍増となる。15年5月以降は、スマートフォンやタブレット端末の「SIMロック」の原則無料解除を義務化する方針もある。これも「格安スマホ」の広がりに拍車をかける。SIMロックを解除すれば、携帯端末を買い換えずにMVNOに乗り換えられる。
スマホ拡大の余地は大きい。日本のスマホ普及率は50.3%だが …