11月13日にオープンした福岡パルコ新館。「居心地の良さ」を重視した店づくりで幅広い集客を狙う。地下2階から地上6階、延床面積約1万4000㎡に45店舗が並び、来春にはさらに増床を予定。クロスメディア戦略によって販売チャネルを拡大したのが大きな特徴だ。

オープン日には約250人の行列ができた福岡パルコ 新館(右)。
心地良い環境に注力しくつろげる場所を作る

館内は「コンフォータブル」をキーワードに、休憩スペースを多く設けた。
11月に開店した福岡パルコ新館のコンセプトは「天神のコンフォータブルストア」。館内は「コンフォータブル(=快適)」をキーワードに、いくつもの工夫を施した。エスカレーター近くにはソファを置いた休憩スペースがあり、2階・3階・5階のレストルーム付近にはイスやテーブルを置いた「したくば」を用意。全8フロアのうち7フロアにカフェを配置し、くつろげる空間を意識した。
パルコ福岡店・営業課課長の渡辺司氏は「天神という街はいろいろなお店があって魅力的ですが、ゆっくり休めるスペースが少ないのが弱点。私たちはそれを解決するため、心地良い環境を作りました」と語る。
イベントやアートを楽しめるコトを重視したフロア
現在、パルコは全国に19店あり、政令指定都市を中心に展開する「都心店グループ」が8店。その中で福岡パルコが特徴的なのは、衣料品の比率だ。他店が約5割に対し、福岡パルコは4割程度に抑えた。それはモノを買うだけの場所でなく、コトを重視した環境整備のためである。
特に5~6階はサービスやコトにスポットを当てたテナント構成だ。5階には、東急ハンズがプロデュースする「ハンズカフェ」、九州の工芸品を集めたギャラリー&ストア「シトラス」、ラッピングとDIYの店「ラップル」があり、この3店ではワークショップなどのイベントを定期的に開催する。6階には書店とカフェ2店が入り、飲み物を片手に購入前の本を読むことができる共用スペースを23時まで開放する。トイレの壁面や鏡に若手クリエイターの作品を展示したデザイン性の高いフロアとなっている。
また防音設備を整えた飲食店「カワラカフェ&ダイニング フォワード」にはステージを設け、音楽ライブを開催できるようにしている。こうした滞在時間を伸ばす仕掛けで売り上げアップを図る。
ターゲット世代の女性社員が共感を呼ぶ広告を制作


福岡パルコ新館のメインターゲットは福岡都心部で働く20代後半~30代の女性。同世代の女性社員が広告の企画を考え共感を呼ぶビジュアルにした。
11月上旬から地元で新館オープンのテレビCMを放映し ...