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経営トップ 販促発想の着眼点

ゆっくり走る「タートルタクシー」導入、三和交通社長インタビュー

蓬田修一(ジャーナリスト)

ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。

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車体の目立つ場所にカメのイラストを配置したタートルタクシー。“ゆっくり走るタクシー”というサービスは、業界で初めての取り組みだ。タートルタクシーは「2014年度グッドデザイン賞&グッドデザイン・ベスト100」を受賞した。

三和交通 代表取締役社長 吉川永一氏(よしかわ・ながいち)
1977年横浜市生まれ。学生時代はデジタルハリウッドで映像クリエイティブのTA(ティーチング・アシスタント)や講師を務めたこともある。大学卒業後は音楽プロモーションビデオやウェブなどの制作に従事。26歳のとき三和交通に入社し、複数の営業所に勤務。29歳で三和交通の社長に就任。社員とできるだけたくさんのコミュニケーションを取り信頼関係を築きながら、タクシー業界における従来からのやり方にとらわれない販促マーケティングや人材募集プロモーションを展開している。

地域で一番やさしいタクシーを目指して新サービス

横浜、東京23区、三多摩地域、埼玉に7つの営業拠点を設け、タクシー事業を展開する三和交通。1965年に設立、現在は車両台数513台、三和交通グループ全体で約1300人の従業員がいる。グループ全体の売り上げは約70億円、国内のタクシー会社では10位の規模となっている。利用客は東京23区では法人も多いものの、他のエリアでは個人の利用者が圧倒的に多い。

三和交通では「地域で一番やさしいタクシー」を合い言葉に、サービス品質の向上に力を入れている。20年ほど前から、社内研修などで受けた接遇態度や運転が実践されているか覆面調査を毎月実施。調査結果は営業所ごとに発表している。

また、特別研修を受けた乗務員が“子育て目線”で対応する「キッズタクシー」や、妊婦が陣痛で苦しんでいるときにスムーズにタクシーを利用できる「陣痛119番登録」などの新しいサービスもいち早く取り入れ提供している。

実は急いでいなかったタクシー利用者

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なかなか言いにくいから“ゆっくりボタン”
車内の後部座席に設置された“ゆっくりボタン”。タクシー利用者にとって「丁寧にゆっくり走ってほしい」とは、なかなか言いにくい。ボタンを押すだけで、自分の意思を乗務員に伝えることができる。



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どれくらい貢献? タートルタクシーカード
ゆっくり運転することで、CO2の排出が従来より44%削減する。タートルタクシーのサービスを利用した乗客には特製カードを渡し、乗車ごとに乗務員がカードに走行距離を記入。利用客にとっては、自分の意思表示がエコにどれくらい貢献できたかが実感できる。

2013年12月、三和交通は「TURTLE TAXI(タートルタクシー)」のサービス提供を開始した。乗車中に「ゆっくり丁寧に運転してほしい」と感じた利用者は ...

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