『進撃の巨人』は、2009年9月に発行された講談社の『別冊少年マガジン(創刊号)』に初登場。作者・諫山創氏のデビュー作であるこの作品は反響を呼び、13年4月にテレビアニメ化。幅広い層に認知されるのに伴い、企業や団体からのタイアップ依頼が続出した。今年11月、劇場版『進撃の巨人』の公開が予定され、さらなる話題を集める同作。コンテンツホルダーである講談社で、タイアップ企画の窓口を担うライツ企画部に、その戦略を聞いた。

(左) 講談社 ライツ事業局ライツ企画部部次長立石謙介氏
(右) 講談社 ライツ事業局ライツ企画部伊藤洋平氏

©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会
『進撃の巨人』が初掲載されたのは2009年10月号『別冊少年マガジン』。
テレビアニメ化が転機
ファン層が女性に拡大
─累計発行部数4000万部と『進撃の巨人』がファンに受け入れられた理由を、どのように分析していますか。ほかの漫画作品との違いは?
伊藤▶ 漫画の人気の要因は、謎が謎を呼ぶストーリーの面白さと、多彩で個性的なキャラクターたちの魅力が大きいと思います。
立石▶ 新人作家のデビュー作は、面白いと爆発的な人気になる傾向があります。誌面に勢いが出るんでしょうね。特に諫山先生の緻密な話の展開とダイナミックな作画は素人目に見ても独創的でした。
伊藤▶ 月刊誌の連載が話題となり、その後コミックの単行本がヒットしたのですが、ファンの裾野は、テレビアニメによって一気に広がりました。アニメ化によって、動きや声が加わり、作品の世界がより分かりやすくなったことが大きかったと思います。それまで漫画を読んでいなかった人が『進撃の巨人』のことを知り、ファンになるきっかけになったと思います。
立石▶ 物語の舞台は、巨人がすべてを支配し人類を捕食する世界です。残忍さや公序良俗の面で、テレビの視聴者から賛否両論あるのではないか。そんな不安が、アニメ化を決断したテレビ局側にはあったと思います。しかしアニメが放映されると、視聴者からのクレームもなく、女性のファンが明らかに増えました。『別冊少年マガジン』の主要読者は、少年から中年層までの男性です。しかし作品がヒットすると、女性読者が増え、それを受けてさらに男性が増えていきます。『進撃の巨人』も同様に、読者層が拡大しています。今では、幼児が巨人を倒す真似をして遊んでいると聞きます。コミックの売れ行きは、アニメのオンエア前と比べ約3倍に伸びています。

2013年にテレビアニメ化された。

コミックス『進撃の巨人』。累計4000万部を発行。
タイアップ依頼は2000件以上
─今ではたくさんの企業とコラボレーションを展開していますが、やはり、アニメ化が転機となったのでしょうか。
伊藤▶ そうですね。アニメ化の前は ...