2013年にテレビアニメが放送され、人気が拡大した『進撃の巨人』。2015年には実写版映画公開も控え、各社が競ってタイアップを模索している。この人気に先立ち、作品の特徴を巧みにとらえ、自社のプロモーションに活用した企業がある。それぞれの担当者はいかにタイアップキャンペーンに挑んだのか。

左から、NTTコミュニケーションズ・三浦康徳氏、白十字・牧野智之氏、フェニックス・加藤輝泰氏。
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会
─コラボレーションするにあたって気をつかったこと、注力したことは。
牧野▶ NTTコミュニケーションズさんやピザハットさんだと名前を聞いてすぐに何をしている会社か分かりますが、当社の場合はそうはいきません。こういう企画で名前を常に露出させることで認知度の向上を狙うことは意識しました。当社商品はシェアNO.1を続けていますが、これは絶対に守りたい。ドラッグ関連の商品はPB(プライベートブランド)化が進んでいて、売り場はPBとトップメーカーの商品で棚が埋まってしまいます。そうなるとトップでないとチャンスさえない。トップシェアを守るためには常に新しい客層を取り込んでいかなければなりません。だからこそキャンペーンの差異化は重視しています。他社と同じことをやっていても見てもらえない。ドラッグストアに行かない人、普段買わない人、大型救急絆を知らない人に知ってもらうことは常に考えています。
加藤▶ 企業とアニメのコラボレーションはやり尽くされた感があって、コンテンツを商品やブランドと組み合わせたときに、ユーザーに面白いと感じさせないと、いくら人気のあるコンテンツと組んでも話題になりません。どう面白くできるかが重要なのです。『進撃の巨人』もここ一年で色々な企業がタイアップしているので、今後起用する場合は頭をひねらせる必要があると思います。
牧野▶ 国民的人気の作品と組める体力のある企業はうらやましいですが、組んだからといって必ずしも商品が売れるわけではないですよね。
加藤▶ お金の問題もありますね。作品に人気が出ればタイアップ料も上がっていきますし、お互いにWin-Winになることを目指したいですね。
三浦▶ タイアップする際に、コンテンツにどれぐらいの使用範囲の自由度があるのかも気になります。『進撃の巨人』とのキャンペーンは、人気が拡大する初期段階に組ませてもらったので権利者の方も探り探りの部分があったのかもしれません。私たちのさまざまな要求も前向きに検討していただき、受け入れてもらえました。
加藤▶ タイアップを通じてパロディをすることは作品の世界観に少なからず影響を与えます。タイアップする企業が増えてくれば、作品自体もブランド化してパワーが強くなりますから、最初の頃は柔軟に対応してもらえても、今は「イメージに合わないからNG」と言われることもあるでしょうね。
牧野▶ 今回のキャンペーンでも、許諾を得られるかどうかすれすれのキャッチフレーズもありました。
三浦▶ キャンペーンのランディングページトップには、マイポケットのキャラクター「ココアくん」を巨人化させたものが描かれてますが、これも結構チャレンジの領域でした。
コンテンツを、訴求したいサービスにどれだけ寄せていけるか、という点で工夫したのはオリジナル漫画の吹き出しリメイクです。原作のシリアスな雰囲気の中でマイポケットの機能を説明するギャップが受けて…