9月17日に開催されたDoBoken主催のセミナーでは、“個”の生活者にフォーカスした顧客戦略について、第一線で活躍する実務家の3名が講演。多数の事例を紹介しながら、その成功の秘訣を解説したほか、さらに次世代に向けたEC戦略のあり方を展望した。
![img01](https://mag.sendenkaigi.com/hansoku/201412/images/025_01.jpg)
「施策の効果を上げるためには、動的データを用いて、購買意欲の高い顧客を見つけ出すことが重要」と説くDoBoken代表取締役 音田康一郎氏。
「5W1H」の視点を導入第二の成長フェーズへ
第1部の講演では、婦人・紳士服販売のECモール「MAGASEEK」を運営するマガシークの、マガシーク事業本部UX・マーケティング部長 高松貴宏氏が登壇。「“自分のためのセレクトショップ”マガシークの顧客中心マーケティング」をテーマに、自社の取り組みを紹介した。
出版社と提携したショッピングサイトの運営を手掛けてきた、従来の成長モデルが効きにくくなり始めたのは2008年。当時、20誌のショッピングサイトを運営していたが、出版社が直接ECを始めるなど提携雑誌数が縮小し、それまでのような高い成長率が維持できなくなっていた。
その打開策として取り組んだのが、顧客一人ひとりの多様なニーズに対応する個客マーケティングであり、「適切なお客さまに(Whom)、適切なタイミングで(When)、適切な内容(What)、を届ける(How/Where)ことを意識した企画が成功のカギ」と説明。
レコメンドやイベントメール、アドテクノロジー、ターゲティングバナー、CRMなどをオンサイト・オフサイトや短・中期で使い分け、2013年には再び高い成長率を記録。これから第2の成長フェーズへ突入していくと語った。
顧客の感情に応じ最適なタイミングで接触
第2部に登壇したのは、クーポン配信の最適化を図り、サイト訪問者を購買へと結びつけるECサイト向けプライベートオファーシステム「ZenClerk」を提供する、DoBokenの代表取締役 音田康一郎氏。同社が常々意識して取り組んでいるという行動経済学をベースにしたプロモーション施策について説明した。効果の出るプロモーションには行動を促す特定の要素が内在し、人の感情を動かした上で購買を後押しするという共通点があると指摘。「重要なのは、お客さまの感情が盛り上がっているその瞬間に、その施策をあてること」と強調した。
しかし、従来のようなサイトへの流入元や顧客属性、購入回数などの静的なセグメントデータを使ったアプローチでは、気持ちが盛り上がっている顧客もいれば、商品を見比べている最中の顧客もいたりと、購買意欲に差がある。その中から、施策が効くフェーズの顧客を抽出した上で、最適なタイミングでクーポン配信などを行うことが大切であり、「施策をもう一段進化させるためには、動的データによるタイミングを用いた顧客へのプロモーションが必要」と音田氏は言う。さらに同社が提供するZenClerkについて、「今後も顧客の状況に応じ、クーポンによって間接的にパーソナライズした正しい価格を提示することで、利益と高い顧客満足の両立を目指していく」と展望した。
続く第3部に登壇したディノス・セシール 顧客推進ユニット ユニットマネージャー 井筒秀樹氏は、「Dinosのパーソナライズの取り組み」と題した講演の中で、新規顧客の獲得策として、DoBokenのZenClerkを活用した事例を紹介。自社でリスティング広告経由での来訪者向けに1000円クーポンの表示・非表示テストを行った際のコンバージョン率が14%増であったのに対し、ZenClerkでクーポンを配信するタイミングを最適化したところ、約42%増と格段に上昇したと話す。また、メルマガユーザーを除外するなどセグメントを強化することで、新規率が58%まで改善し、飛躍的な成果を上げたことを明かした。
![img02](https://mag.sendenkaigi.com/hansoku/201412/images/025_02.jpg)
登壇者らが語る、試行錯誤の末に見出したECの成功施策に熱心に耳を傾ける聴講者。
お問い合せ
株式会社 DoBoken www.zenclerk.com
〒107-0062 東京都港区南青山7-3-1 NGA南青山ビルXII 8F
TEL.03-6427-4656 E-mail.info@doboken.net