「カレーハウスCoCo壱番屋」を国内外に1399店舗(国内1271店・海外128店/2014年8月末現在)展開する壱番屋。個々の店舗が独自にメニューや販促策を展開する「ストアレベルマーケティング」に取り組む。自ら考えて動く能動的な人材の育成に注力する、壱番屋の現場力に迫る。
壱番屋 代表取締役社長 浜島俊哉氏(はまじま・としや)
1959 年愛知県生まれ。1980 年カレーハウスCoCo壱番屋に従事、1992年取締役 全国統轄本部長、その後専務取締役、副社長を経て、2002年代表取締役社長就任。
貴社にとっての現場力とは?
現場で働くスタッフが楽しく働いているかどうか、それがすべてではないでしょうか。当社は「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」という社是を掲げていますが、来店いただくお客さまに感謝の気持ちを持って笑顔と機敏な動作、さわやかな態度で接客できれば、お客さまとの良好な関係が構築され、コミュニケーションのキャッチボールが生まれます。最終的に、お客さまから「ごちそうさま」「ありがとう」と言葉をかけてもらえた時の喜びを考えると、結局自分たちのためにやっているということに気付くでしょう。「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」は、感謝の気持ちと前向きな気持ちで最善を尽くすよう努力するということなのです。それを身につければ楽しく働くことができますし最大の現場力となります。
仕事というものは、上から下へ指示を出すものではありません。現場のスタッフがどのようにすればもっと楽しく働けるかを自ら考え、経営サイドに提言する。経営者の役割はその意見が理念に合っているかどうか判断して決裁することだと考えています。
もちろん全ての意見が正解というわけではありません。ポテンヒットもあれば、空振り三振もあります。しかし、何事もやってみなければ結果は出ません。成功すればもっと突き進んでいけばいいし、失敗しても「失敗」という経験が残ります。どちらにしても無駄になることはありません。
店舗に足を運ばれますか?
新店や改装オープン、出店後のアンケートハガキの内容で良くないものが続いているなど、行くべき用事がある場合は行きますが、それ以外は努めて行かないようにしています。店舗に行けば色々と気づいた点を注意したくなりますから(笑)。自分が店舗運営の立場だったら、社長に口出しされるのは気持ちのいいものではありません。人からされて嫌だなと思うことは、人にはしないというのが私の主義です。
店舗に行かない代わり、アンケートハガキには目を通します。当社には毎月4万~5万通ほどアンケートハガキが届きます。それを、お客さまサービスセンターという社長直轄の部署で関係各署に振り分けます。私に届くのは約1万通ほどですが、さまざまな場面で経営判断を下す際の参考にすることもあります。
あとは、毎年全国40カ所ほどで、社員やアルバイト・パートを集めた「意見交換会」を実施しています。会を始めたころは ...