
『モデレーター 聞き出す技術』
早尾 恭子 著 すばる舎 刊 1500円+税
年間2000人、500時間以上の対面調査を行い、ヒット商品の開発にモデレーターとして携わってきた著者。インタビューの現場で実践する、相手の本音を聞き出すテクニックを紹介した本。
相手に気持ちよくしゃべってもらう
モデレーターは生活者のリアルな声を聞き出す仕事です。グループインタビューや1対1のインタビューでは、初対面の方から時間内に必要な情報を聞き出していきます。自身の生活を振り返ってもらいながら「このサービスがあると自分はこんなふうになれる」「その商品にこんな不便を感じている」など、普段は明確には言葉にしていなかった奥底に潜む気持ちを引っ張り出すことで、商品やサービスのヒットにつながる仮説を発見するのです。
一問一答のような単調なやりとりでは、新しい発見は得られません。インタビューでは、まず相手に気持ちよくしゃべってもらいます。そこからキーワードが出てくるのを待ち、深堀りしていくのです。今まで人に話したことなんてなかったのに、思わず興奮してしゃべり続けてしまった経験はありませんか。無意識に閉じていた心の蓋が開いて、湯水のように言葉が溢れてくると「自分ってこんなふうに考えていたんだ」と気づかされることがあります。こうした状態をインタビューで作ってあげることが大事なのかなと思います。
相手の心の蓋に働きかけるためのコツを『モデレーター 聞き出す技術』の中で綴りました。その手法は、インタビュー調査だけでなく、店頭プロモーションや営業活動、会議やワークショップなど…