O2O、オムニチャネルといったデジタルの活用に注目が集まるが、その後の店内施策の不備により、チャンスを逃していることも多い。ここでは、「顧客」の行動をしっかりと観察し、そこを起点としてさまざまな施策を見直す「行動観察」の基本と業務に取り入れるためのポイントを解説していく。
1.店頭でのお客さま行動観察の方法
これまで行動観察の基本的なスキルと体系についての解説を行ってきたが、今回はそれを店頭で実践する際の手法と、そこから得られる結果について、事例を交えながら解説していく。
まず、店頭でのお客さま行動観察の具体的な方法について説明する。
お客さまの行動を観察する方法は、その目的に応じて定点型の観察と追跡型の観察を使い分けている。(図)
定点型は主として、特定のカテゴリやゾーン内におけるお客さまの商品探索や比較検討、購買または非購買に至る行動を観察する目的で用いられる。
定点観察の際は、状況が許せばビデオを撮影することもある。撮影を行う場合には、張り紙などによってその目的及び用途をお客さまに告知することが必要であることは、言うまでもない。
一方追跡型は、お客さまの入店から退店までの一連の行動の流れを把握し、その行動と商品、POP、サインや店内放送などとのかかわりを観察する。
観察対象となるお客さまについては、一般の来店客を観察する方法と、あらかじめリクルートした対象者を観察する方法がある。(図)
一般の来店客を観察する方法であれば、お客さまの自然な行動が観察できるが、特定の売り場へのお客さまの立ち寄りが極端に少ない場合などには、あらかじめリクルートされた対象者による模擬購買を用いることがある。
この場合、一般来店客にはないバイアスがかかるという難点はあるものの、確実に特定の売り場に立ち寄るというコントロールが可能になり、模擬購買実施後にデプスインタビューの実施ができるという利点もある。
2.お客さまを観察する際の視点
店頭でのお客さまの行動を観察する際の視点については、第二回で解説した「HMIの5側面」で整理することができる。
まず「身体的側面」として、買い物をしているお客さまに ...