小売大手の取り組みとして注目される「オムニチャネル」。「リアルとネットの融合」「いつでも・どこでも」「チャネルの横断」など、さまざまなフレーズで語られるが、その本質は何か。考え方の核をつかめば、ミドルサイズ、スモールサイズの小売でも生かせるはずだ。アクセンチュア 製造・流通本部 シニア・マネジャー 山口邦成氏が解説する。
Q.「オムニチャネル」とは何ですか。
オムニチャネルの本質は、アニメ「サザエさん」に登場する「三河屋のサブちゃん」を例にとって考えてみるとイメージしやすいと思います。彼は、サザエさんが「ビールお願い」と電話で注文したものを届けるだけでなく、「そろそろお醤油が切れたかと思って」と気を利かせて、頼んでいない商品も勧めてくれます。
現代風に言えば「潜在ニーズを汲み取ってユーザーにリコメンドした結果、購買に至った」というところ。それには「以前、買われた商品は何か/商品を配達したのはいつか(=販売情報)」「磯野家が使い終わるペースは(=顧客情報)」「三河屋の商品で、ほかに必要となりそうなものは(=商品在庫)」といった情報を把握している必要があります。
サブちゃんだけなら「シングルチャネル」ですが、三河屋に直に訪れても、サブちゃん同様、気の利いた顧客体験を受けられるなら「オムニチャネル」的と言えます。もし今後、三河屋がECサイトを開設し、いつでもどこでも、同じようなサービスを受けられるようになったら、三河屋の利用頻度はさらに高まるでしょう。
つまり「オムニチャネル」とは ...