「いつでも、どこでも」買い物ができる環境を整え、消費者の購買機会を最大化する「オムニチャネル」。その取り組みは、多様な業態を持つ大手リテーラーから次第にすそ野が広がりはじめている。
ネットスーパー拡大には「利便性」実感がカギか
おうちでイオン ネットスーパー
日々の買い物の中で、最も実感しやすいオムニチャネルは「ネットスーパー」だろう。忙しい単身者やなかなか時間の取れない子育て世帯を中心に利用が進んでいる。オムニチャネルを先導するイオングループ、セブン&アイ・ホールディングスの両社はネットスーパーの利便性を高め、利用の間口を広げようとしているようだ。
千葉みなと駅に受取のためのボックス設置
いまだ厳しい残暑の中、外に出ると日差しや熱い空気にクラリ。こんな日はネットスーパーで買い物をしようか─。スーパーと同様に生鮮品や冷凍食品などを注文、宅配してもらえるネットスーパー。買い物時間の取りづらい単身者や共働き世帯、妊娠・子育て中の女性や年配者だけでなく、ちょっとした買い物でもネットスーパーを利用するユーザーが次第に増えてきたようだ。リアルタイム検索などを見てみると、ソーシャルメディア上では、毎日ネットスーパーの利用についてのコメントが盛んに投稿されている様子がわかる。
ネットスーパーとコンビニエンスストア拠点型を合わせた「小売拠点型通販」の市場規模は1443億円(富士経済2014年1月22日発表、2013年見込み)で、12年比14.9%の伸び。富士経済は「注文商品や配送時間の自由度の高さや、身近に店舗があることの安心感が受け入れられ、今後も10%前後の伸長が期待される。商品カテゴリーが広がれば、単価の高い商品が実績拡大に貢献すると考えられる」としている。
ネットスーパーは2000年ごろからスタートし、10年以上を経て参入企業が拡大。サービス内容も拡充が続いている。その中でも、イオングループでは店舗がない徳島県・福井県以外の全国45都道府県でネットスーパー事業を展開している。うち、42都府県では全域配送を行っており、最大級の配送エリアを誇る。取扱品目数は約1万5000点以上。ネットスーパー会員を含む、イオンの総合ポータルサイト「イオンスクエア」会員は8月時点で1100万人に上る。
「スマホDEリカー」は、店頭で該当するワインのラベルをスマートフォンのカメラでスキャンすると、そのワインについての商品説明が流れるアプリ。気に入った商品はそのままネットで購入できる。

利便性の向上にも積極的…