日本政府主催イベントのロゴ「JAPAN」や、大河ドラマの題字「龍馬伝」を手掛け、12月にはルーブル美術館地下で作品展示が予定されるなど、国内外で活躍を続ける書家の紫舟氏。独創的なアイデアで、伝統や固定概念を超えた作品づくりに取り組む一方、日常ではどんな場所へ出かけたり、発想力を高める工夫をしているのかなどについて話をうかがいました。

8月に恵比寿ガーデンプレイスで開催された「Love Letter Project’14」において、紫舟氏が手掛けるデジタルアートを映すドーム前で撮影。ワンピースも、「JAPAN」という言葉をモチーフにした、紫舟氏のデザイン。西武池袋本店、そごう横浜店、千葉店にて9月5日より順次発売予定。
─紫舟さんの活動について教えてください。
書で主に使われる日本語は、世界195カ国中、日本1カ国で使われています。そのため海外に出たとき言葉の壁があるように、作品を世界で発表していく中で、文化の見えない壁を感じるようになりました。一方で音楽は、知らない言語もメロディにのって思わず口ずさんでしまう。そんな風に、言葉の壁を超えて誰にでも感じてもらえる表現を書で実現したい。そして、世界中の人々に、書を通し日本を発信していきたい、そんな想いで、さまざまな試みを続けています。
例えば、デジタルテクノロジーを用い、書が巨大なドームの中に投影され、美しい日本語の星が鑑賞者に降りそそぐ作品を8月に発表しました。デジタルアートは数年前から手掛けています。世界から日本は、「文化とテクノロジーが融合している未来の国」だとよく言われます。それをひとつの作品として表現できれば、文化立国かつ技術大国である日本による、最先端のデジタルアートが生み出せるのでは、という発想からです。
毎年、恵比寿ガーデンプレイスで主宰している「Love Letter Project」においても、4年前からデジタルアートの作品を発表しています。デジタルは情報が「0」と「1」に単純化されていることで多くの人に受け入れられたという説があります。書もデジタルと融合することで、書に造詣の深い方だけでなく、書や文化への関心がまだ薄かった方にも見てもらい、より多くの方に書に興味を抱いていただくきっかけになれると信じています。今年も、大勢の方に足を運んでいただき、テレビのニュース番組でもたくさん取り上げていただきました。
─発想力を高めるために、街歩きやお買い物を楽しまれたりすることはありますか?
外に出て、とても気持ちのいい風が頬にあたる。葉と葉がこすれ合う音を ...