レンタル・シェア文化を浸透させるためのブランディング (後編)
必要なときに必要なだけ利用できる経済性や合理性が支持され、広がりを見せているレンタル・シェアリングサービス。車からファッション、スペース、スキルまでさまざまなカテゴリーでサービスが生まれている。ただ、なんとなく存在は知っているものの、一歩を踏み出すには至っていない生活者が多いのも事実。成長過程のサービスの最新プロモーションを取材した。
業界別販売促進
富士山の世界遺産登録や、2020年東京オリンピック開催などで改めて日本の魅力が見直されるとともに、アベノミクス効果や円安の影響で増加傾向にある国内旅行。とはいえ、様々な種類のホテルや旅館が乱立し、宿泊施設にとっては厳しい競争環境にある。選ばれる施設になるには、話題性のあるニュース発信によるメディア露出の獲得や、その施設ならではの魅力訴求によるファンづくりがカギになりそうだ。
(取材・文 前田はるみ)
口コミ情報がホテルや旅館を決めるうえで重要な役割を占めるなか、施設にとっては、利用者が満足するサービスを提供することで、好意的な口コミを増やしていくことがとても重要になる。その一方で、立派な施設や良質なサービスを持っていても、世の中に知られていないために利用されていないホテルや旅館もある。認知をいかに高めるのかも、集客を増やすうえではポイントとなる。
また、若い世代が旅をしなくなっている昨今、将来の顧客の開拓はどのホテルや旅館でも深刻な課題である。気軽にお試しできない「宿泊」という商品に対して、いかに興味を持ってもらうのか。若者との接点づくりや、ホテルや旅館を利用することへの心理的ハードルを下げる工夫が必要だろう。
今回は、温泉旅館やシティホテルなど種類の異なる4施設を取り上げ、集客施策を取材した。
界のブランドサイトでは、ブランドの共通コンテンツを横串で展開。全国展開を示す日本地図を表示することで、各地の界を巡ってみたいと思わせる見せ方にしている。
「若者旅プロジェクト」第三弾の特設サイト。界の同年代のスタッフのメッセージを掲載している。
星野リゾートの「界」は、全国で12施設展開する温泉旅館ブランド。和を大切にしながらも、昔ながらの温泉旅館にイメージされる古さや敷居の高さを払拭しようと、現代人が快適に過ごせるような上質な空間とサービスを提供しているのが特長である。
界では13年より、20代向けの「若者旅プロジェクト」を実施している。旅離れが進む若い世代にもっと旅をしてもらおうと…