企業が売り上げを高め、顧客を拡大――その過程にはいつでも販売の現場を大切にする社長の知恵が生きている。本連載では、販売の現場から次々とユニークなプロモーションを生みだす成長企業の経営陣を紹介。その販促の考え方を取り組み方とともに紹介する。
取材・文 上妻英夫(KIプレス)/経済ジャーナリスト メルマガ「いま、売れる方法はこれだ!『上妻英夫の販促大学』」
ヒット商品を生み出す上で大事なことは「打席数」と話す代表取締役社長 高田信吾氏。
“和魂商才”の精神で商品開発 楽しさを提供
成熟市場の和洋菓子業界。少子化、デザート類の多様化、ダイエット志向や健康志向の高まりで、競争が激化している業界でもある。そういう事情の中で、コンビニスイーツに代表される洋菓子、ヨーグルト、アイス類が全体を牽引し、商品のサイクルが短くなってはいるが市場は活発化している。
品種間の競争や企業間の競争は一段と激しくなっている状況の中で、独自の戦略でヒット商品を次々に打ち出している地方の老舗和洋菓子メーカーの一つが、創業394年の虎屋本舗(本社広島県福山市)である。同社は独自に商品開発を行い、数多くのヒット商品を生み出してきた。年間で取り扱う商品の数は約200種。福山市内を中心に12の直営店舗があるほか、全国の有名百貨店、大手の量販店などで販売。オンラインショップも積極的に展開している。売り上げはここ数年間順調に推移している。
同社が全国的な知名度を持つようになったのは…
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