既存商品が息長く、長期間に渡って愛され、買われ続けるようにするには、「ヒットしたものを表面上でとらえるのではなく、その背後に隠された消費者の心情を汲み取ることがヒントになる」と電通 プロモーション・プロデュース局の大薗一郎氏は語る。同氏が「自撮り」などのヒットから、消費者が、自分自身との新しい付き合い方をしはじめていると分析する。

「自撮り」の波はバチカンにも。ローマ法王フランシスコが、バチカンを訪れた10代の信者と。
自己確認・自己肯定
商品が売れ続けるような、消費者との関係性をどうやって築くか。長期的に売り上げを立てることは、プロモーションにおける永遠の課題だ。「人の根源的な欲求に焦点を置くことが今、プロモーションにも求められているのかもしれません」と話すのは、電通プロモーション・プロデュース局プランナーの大薗一郎氏。
大薗氏が、根源的な欲求の一つとして挙げるのは、「自己確認・自己肯定」だ。例えば、近年、ソーシャルメディアの隆盛で盛んに行われている「自撮り(=自分の写真を自分で撮影し、ネット上に公開する行為)」。「これは、自己確認・自己肯定そのもの。自画像を描く行為が、デジタルによって新たな形で広がりました。見た目良く加工して他人からの評価が集まってくると、いつのまにか本当の自分であるように思えてくる」。
映画『永遠の0』のヒットも、「自己確認・自己肯定」の表れだと大薗氏は分析する。「『永遠の0』は、戦時下の特殊な環境下ながら、その分、自分を大事にしたい、家族や仲間を大事にしたいという、今の人々にも共通する思いを鮮烈に描きだしました。結果、強い共感を抱いたり、そうでなくとも考えさせられたりした。だから多くの人が見ただけでなく周囲にも勧めていたわけですよね」。
リアルの場で、この欲求が顕在化しているのが…