アウトドア部門
1992年、屋外広告・印刷物を対象に創設された「プレス&アウトドア部門」を出自とする部門。2006年に「アウトドア部門」として独立し、広告を生活空間に溶け込ませる手法「アンビエント広告」も審査対象に加えた。伝統的・先進的を問わず、メッセージに消費者を関与させる、アイデアや表現力も含めて審査する。
グランプリ

オーストラリア・ニュージーランド銀行「GAYTM」/Whybin\TBWA Group Melbourne
オーストラリア・シドニーで開催されたゲイ・プライド・パレード「マルディ・グラ2014(Mardi Gras)」のスポンサーを務めた、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は、その支援の一環として、市内に設置したATMのデザインを変更した。ラインストーンやレザー、シークイン(金属片)、スタッド(飾り鋲)、デニムやファーなどゲイ・レズビアンカルチャーのシンボルで飾った「GAYTM」だ。その奇抜な装いに、シドニー市内のツアーバスは、わざわざGAYTMが見られるルートを取って走ったという。通常、ANZのATMで使用するレシートロールは平均で1週間持つところ、GAYTMのロールは1時間でなくなるほど利用された。同行はこの取引手数料をLGBT*を支援するNPO団体に寄付している。
ゴールド

MISEREOR「Social Swipe」/ Kolle Rebe
アフリカやアジア、南米の貧困問題に取り組むドイツのNPO団体「MISEREOR」による施策。募金を集めるため、国際空港に設置したこのデジタルサイネージは、クレジットカードを差し込んですべらせる(スワイプ)するだけで、2ユーロ(約275円)を募金できる。募金の使い途は大人と同じ刑務所に収監され、不当な扱いを受けているフィリピンの少年を救う活動や、ペルーの人々に食料を提供する活動。カードをスワイプすると、手を縛るロープが切れたり、パンがスライスされたりといった映像が流れる。クレジットの明細にはお礼の言葉と、募金を毎月支払ってもらえるようお願いする文章を添えた。短時間で認証プロセスを済ませる技術力も高い。「クレジットカードは消費のシンボルですが、この施策ではカードを使うといい気持ちになれる。とはいえ、これもセキュリティ面などクリアすべき問題は多く、その解決も簡単ではなかったはず。実現への強い意志を感じさせます」(樋口景一氏)。
ゴールド

ブラジル小児がん患者支援グループ(GRAACC)「Bald Cartoon」/オグルヴィ・アンド・メイザー ブラジル
小児がん患者の子どもたちは、病気だけではなく、人々からの偏見、嫌悪の視線にも立ち向かわなければならない。彼らを勇気づけようと、プラジル小児がん患者支援グループは、世界中の40以上のキャラクターとコラボレーションし、各キャラの頭髪をなくすという大胆なキャンペーンを展開した。「カートゥーン・ネットワーク」や「ディズニー・チャンネル」など子ども向け放送局では特別エピソードを放送。新聞やコミック冊子、ポスターなども展開した。「非難が寄せられるのはまず間違いないですし、造形が命のキャラクターたちに、頭髪をなくしてもらうのは、遂行も極めて困難だったことが伺えます。しかしそこに果敢に挑戦していった。とても勇気あるキャンペーンだったと思います」(樋口景一氏)。
「勇敢になれたか」でプロモーションを振り返ってみる
Q.どんな審査が行われた?
2014年のアウトドア部門では、約5650点近くを審査した。これは他部門と比べても圧倒的な数。先進国だけではなく、新興国からも多く寄せられ、年々増加傾向にある。
審査員長を務めたホセ・ミゲル・ソコロフ氏も...