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販促担当者が知っておくべき「カンヌライオンズ2014」レビュー

スケールの大きさは重要ではない 英百貨店ハーベイ・ニコルズのX’mas企画

プロモ&アクティベーション部門/アサツー ディ・ケイ 高野文隆氏

Q.「カンヌライオンズ」って?

「カンヌ」と聞いて、普通思い浮かぶのは「国際映画祭」のほうではないだろうか。

広告・販促・広報の「カンヌ」――「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」も、映画祭と関わりがある。カンヌライオンズは、世界広告協会が、優れた「シネアド」を表彰するために始めたアワードなのだ。1954年の初回、集まった作品は14カ国から187点という、とても小さなアワードだった。

それが現在では、世界中から3万5000点以上の作品が寄せられ、94カ国から約1万2000人が参加する、世界でも有数の巨大イベントに成長。60年間で創設された数々の部門はそのまま、広告コミュニケーションの進化の道筋と重なる。

今回は、主要17部門から販促領域の3部門にフォーカスし、プロモーションに生かせるヒントを探ろう。

    プロモ&アクティベーション部門

    2006年、消費者を動かす革新的なプロモーションキャンペーンを表彰する「プロモ部門」として設立。その後2010年に「プロモ&アクティベーション部門」と改称した。

    アイデアや仕組みの面白さだけでなく、「購買」につなげた成果をシビアに求める部門で、カンヌでも注目を集めている。

    グランプリ

    ハーベイ・ニコルズ「Sorry, I Spent It On Myself.」/ Adam & Eve DDB
    ハーベイ・ニコルズが2013 年クリスマス商戦向けに展開したキャンペーン。「Sorry, I Spent It On Myself.(ゴメン、自分のために使っちゃった)」とのキャッチフレーズを添え、同社らしい洗練されたパッケージで「輪ゴム」や「クリップ」、「つまようじ」といった「クリスマスギフトコレクション」を販売。これをプレゼントすれば、自分の欲しいものを買っても言い訳になるという仕掛けだ。2万点用意した「ギフト」は3日で売り切れ。「誰かのためのクリスマス」から「自分のためのクリスマス」に視点を変えた施策は、ソーシャルメディアを中心に大きく支持を集めた。



    ブロンズ

    Teatreneu「Pay Per Laugh」/ THE CYRANOS McCANN WORLDGROUP EUROPE Barcelona
    スペインのコメディ劇場「Teatreneu」による施策。2013年半ば、政府が演劇にかかる税率を8%から21%に上げた結果、同国のエンターテインメント業界は大打撃を受けていた。そこでTeatreneuは上演物が代金を支払うだけの価値があることを示そうと、顔認証システムを活用した「ひと笑い、30ユーロセント」(約41円)のビジネスモデルを導入。シート前に設置したタブレットで観客の表情を分析し、笑った場合にだけ課金される仕組みだ。上限は24ユーロまで。これまでのチケット売り上げとくらべて1人あたり6ユーロも収益が上昇。観客動員数も35%上がった。

人々が「無視できない」もの「動かざるを得ない」アイデア

Q.どんな審査が行われた?

「プロモ&アクティベーション部門」は、即時に、また直接に消費者の行動を喚起し、製品やサービスの売り上げに貢献したキャンペーンが表彰される。「アクティベーション」とはまだ日本で耳なじみのないフレーズだが...

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