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ユネスコ無形文化遺産登録で再注目 和食を切り口にしたプロモーション(後編)

にんべん/ビー・ワイ・オー

昨年12月、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された。世界では和食への注目が高まる一方で、国内では和食離れが指摘されて久しい。そのような中で、和食の新たな魅力を引き出し、それを分かりやすく伝えることで商品やサービスの利用につなげようとする動きがある。「和食」を切り口に、ユニークなプロモーションに取り組む事例を取材した。(取材・文 前田はるみ)

本物の「だし」を味わい和食を再発見する
にんべん

イートイン&店内

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ランチ時や休日には、イートインの前に行列ができるほどの人気。隣接する本店内には「削り場」があり、そこでその日に削った削り節でひいた「かつお節だし」を飲むことができる。

鰹節専門店のにんべんは、東京・日本橋に本店を構え、今年で創業315年を迎える老舗である。和食になくてはならないかつお節のだしにこだわり、本枯鰹節の削り加工販売から、「フレッシュパック」などの一般家庭用商品まで幅広い商品を取り揃えている。「だしは、その香りを生かすことで素材の味を引き出すことができ、また塩分や油分を控えられる理想的な健康食として、最近は注目されています」と同社経営企画部部長 戸田山伸一氏は話す。

だしのおいしさを伝えるために、10年より始めたのが、「かつお節だし」が手軽に味わえるスタンド形式イートイン「日本橋だし場」である。隣接する本店には「削り場」があり、その日に削った新鮮な削り節でひいた「だし」を飲むことができる。しかも、最高峰の本枯鰹節を使用するというこだわりよう。1杯100円という手軽な値段と、気軽に立ち寄れる今風のスタンディングバー、「だしを飲む」という新規性が相まって、平日には約300杯、休日には約1000杯も売れる人気となっている。オープン以来、累計で45万杯を販売している。

「だしをそのまま提供して売れるのかと、社内でも懐疑的な意見がありました」と戸田山氏はオープン当時をふり返る。最近は家庭で毎日だしをひく人は少なく、ましてや、だしをそのまま飲む人はいない。「家庭でだしをひく習慣が減っているからこそ、本物のだしの味を多くの人に知ってほしいと思いました」と戸田山氏。オープンしてみると、不安をよそに大成功。「だしを飲んだ瞬間、お客さまの顔が変わるのが分かります。ホッと癒された顔になる。日本人は潜在的にだしが合うのでしょうね」

だし場を利用した人は、自然と本店に足を踏み入れることになる。「だしがおいしかったから、自宅にも何か買っていこう」という購買動機につながるのだ。よく売れるのは、スタンドで飲める「だし」が家庭でも味わえるティーバッグ「本枯鰹節 飲むおだし」と「本枯鰹節 薫る味だし」、また、削り場で削ったばかりの削り節も人気である。

以前は50代以上の常連客が中心だったが、だし場が併設されてからは、近隣のビジネスパーソンやOL、観光客、家族連れ、若いカップルなど客層が広がった。「本店の年間売り上げも約3倍に伸びました」と戸田山氏は話す。

今年3月には、だしの旨みを生かした料理を一汁三菜のスタイルで提供する飲食業態「日本橋だし場 はなれ」をコレド室町2にオープンした。だしは和のイメージが強いが、ここでは和と洋の両方の料理にだしを用い、だしの新しい使い方をアピール。利用者の7割は女性で年配客が多く、オープン以来、連日の盛況が続いている。

家庭での和食の継承は親子への食育がカギ

和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて ...

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