6月、虎ノ門ヒルズを開業し、注目を集める森ビル。同社が手がける四つの「ヒルズ」は、それぞれ異なる魅力を放つ。ここでは各ヒルズに訪れる人たちの特徴やイベントスペースの活用事例を紹介。来街者の期待をうまく高めて、ヒルズでイベントを実施するためのヒントを探る。
商品の世界観に適した「街」にイベント会場を設定する
イベント会場を決める際にチェックするポイントは、イベントスペースにおける交通量や料金、空き状況などさまざまな要素がある。だがオープンスペースで商品やブランドについて体験・体感してもらい、理解を促すことを狙った販促イベントの場合は、会場や周囲の街並みのイメージが商品・ブランドと合致しているか、会場周辺を行き交う人が取り込みたいターゲット層と重なるか、ということが重要なポイントとなる。
「ファッション感度の高い人たちが集まる場所」「価値があると分かれば価格をいとわず購入する人たちが日常的に訪れる場所」など、フィールドのイメージや、どういったシーンで人々がイベントに訪れているのか、明確に提示しているのが、森ビルが運営するヒルズ内のイベントスペースだ。
同社では、六本木ヒルズをはじめとしたヒルズを「街」と呼び、街ブランドの形成や魅力づくりに力を注ぐ。通常、公共性の高い都心の屋外スペースは、交通量も多く通行人の細かなセグメントは難しい。だがヒルズの場合は、街全体のイメージ発信や、街内にあるメディアの管理などをすべて森ビルが行っているため、イベント会場に訪れる人たちの気分や、関心も把握しやすいのが特徴だ。現在、四つあるヒルズにおける街イメージや来街者の特性をまとめたので、自社の商品・サービスに合う「ヒルズ」があるかチェックしてみてほしい。
アークヒルズ
オフィス、住宅、コンサートホール、ホテルなどから成るアークヒルズ。開業から約30年、緑に覆われた空間はビンテージ感が漂う。敷地中心にあるイベントスペース「アーク・カラヤン広場」は休日、近隣住民が散歩などで日常的に訪れる場所。価値があると分かれば価格をいとわず購入する、地に足の着いた生活をする人たちが集う。 広場に面したアークヒルズカフェやアークヒルズ・ギャラリーもイベントに使用できる。
→こだわりの商品、特別な逸品を、丁寧に説明し、体感してもらうのに最適
GMPインターナショナルが3月~6月、ベビーカー「AirBuggy(エアバギー)のポップアップストアを展開。
ベビーカーのフレームやシートカバーをカスタマイズし自分仕様の特別な一台をつくれるサービスを提供。
アークヒルズ1986年開業六本木一丁目駅から徒歩1分、溜池山王駅より徒歩1分 |
六本木ヒルズ
年間4000万人が訪れ、美術館、展望台、映画館といった文化施設も充実。円形ステージと開閉式の屋根がある「六本木ヒルズアリーナ」をはじめ、オープンスペースの「大屋根プラザ」、六本木ヒルズの中心にある「ヒルズカフェ/スペース」などのイベントスペースを設ける。ライフステージが高く、高感度のオフィスワーカーや居住者が利用するほか、ハレの日を過ごすために来街する人たちが混在する。
→「街」のメディアを連動させブランドを広く告知、会場までの高揚感をつくりやすい
ビー・エム・ダブリューは13年末から14年1月にかけ、革新的な電気自動車、「ニューBMW i3」をヒルズカフェ/スペースで日本での発売にさきがけて展示。カフェオリジナルメニューも提供した。3月はノースタワー特設スペースで車両を展示。メトロハット外周での広告展開と連動させた。
六本木ヒルズ2003年開業六本木駅直結(東京メトロ 日比谷線) |
表参道ヒルズ
日本のファッションを発信しつづける表参道に面し、約100店舗の専門店が集う。 来館するのはファッション感度が高く、遊び心にあふれ、マイナス10歳のマインドを持つオトナたちだ。本館中央の吹抜け大階段、本館地下3階の「スペース オー」は、ファッションショーや発表会など、さまざまなイベントに利用できる。表参道の歩道沿いに面した、視認性の高いメディアを併用することで行き交う買い物客の目をとめるドラマチックな演出も可能。
→ファッション性が高く、華やかでダイナミックなイベント展開ができる
『VOGUE JAPAN』を発行するコンデナスト・ジャパンは13年9月、「VOGUE FASHION'S NIGHT OUT 2013」を開催。ファッション業界の活性化を目的としたショッピング・イベントで、「スペース オー」と「吹抜け大階段」がメイン会場。ボードやバナー広告も活用した。
表参道ヒルズ2006年開業 |
虎ノ門ヒルズ
オフィスやホテルなどが入る超高層複合ビル。全通すれば東京五輪で選手村や競技施設をつなぐ大動脈となる環状2号線の真上に建設された。地上のオープンスペース「オーバル広場」とそれに面した「虎ノ門ヒルズカフェ」がイベントで利用できるほか、タワー内にはカンファレンスセンター「虎ノ門ヒルズフォーラム」がある。東京の新しいランドマークとしての注目が高まっており、平日はオフィスワーカーで賑わう。
→東京の新シンボルだけに、新しい取り組みの発表や、オフィスワーカーへの訴求に向く
オーバル広場は車両展示が可能。オープン直後は、音楽ライブイベントも開催された。「虎ノ門ヒルズカフェ」では、企業コラボの展開も可能。タワー内の「虎ノ門ヒルズフォーラム」で新発表会を行い、広場やカフェで体験イベントを行うといった展開も実施できそうだ。
虎ノ門ヒルズ2014年開業 |
街に出向く人の「高揚感」と屋外メディアを味方につける
商品を体感してもらう手法にサンプリングイベントがあるが、忙しく歩いているときに突然商品を手渡されたり、イベントへの参加を促されたりしても心には響かない。
一方、デートで映画館に向かう途中、おしゃれをしてワクワクした気分で六本木ヒルズ内を歩いているときに、屋外広告で目にしたブランドの商品が展示されたカフェを見つけ、映画の帰りに店に入ってみたら記念品がもらえた……という自然な流れで商品を体感できれば、その印象は大きく異なる。
ヒルズ内でイベントを実施する際に、森ビルが特に大切にしているのは、こうした「商品との出会い方」だ。街の魅力に期待感を抱く来街者に対し、屋外メディアを連動させながらイベント会場に至るまでの気持ちを高める動線をつくることで、より魅力的な商品の出会い方を演出できる。
お問い合わせ
森ビル株式会社 タウンマネジメント事業部 http://www.mori.co.jp/
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
TEL:03-6406-6666