街頭サンプリングやスーパーの試食イベントで、顧客になる人たちに喜んで商品を受け取ってもらい、よい体験を残すポイントはなにか。そんな体験型コミュニケーションの考え方を、コピーライター 小西利行氏が解説する。
讃岐うどんチェーンの「はなまるうどん」は2013年4月のプロモーションで「話題加速化施策」として、「レタス1個まるごと配布」を実施。はなまるが開発したレタス1個分の食物繊維を含む「はなまる食物繊維麺」を、「レタスをそのまま配る」という意外性で広めた。JR新宿駅で行ったところ、用意した870個が瞬く間になくなり、追加で用意する一幕も。
コミュニケーションは改善できるスキルです。少し考え方を変えるだけで見違えるもの。ここでは二つのクエスチョンを紹介します。伝わる体験を生み出すためのフィルター役を務めてくれる考え方です。
Q1:これ、相手は嬉しいかな?
モモコは、タバコの新商品をサンプリングするアルバイトをしています。タバコ屋さんから出てきたお客さんや喫煙所でタバコを吸っている人に「豊かな味わいのストーリー」などと書かれたシートを見せて説明し、サンプルを渡していきます。
ところがみんな、「忙しいから」と立ち去ったり、説明してもぐったりした顔。こっちだって、笑顔で話しかけるのは疲れるのに…。今日もモモコは、がんばった自分へのごほうびにと、プリンを買いました。
ごほうびがあれば、少しくらい大変でもガマンできる。プリンを食べながらモモコは考えました。「わたしの説明も、ごほうびがあれば聞いてくれるかな?」。どんなごほうびなら、タバコを吸う人は嬉しいでしょうか。
街は禁煙エリアばかりで、一服するのに一苦労。「迷惑をかけずに吸える場所を教えてあげたら喜ぶかも」。彼女はタバコのサンプリング場所を巡っているだけあって、灰皿のある場所については詳しいのです。「足で探した秘密のSMOKINGスポット!」を自作してみることにしました。
「新商品のご説明してもいいですか?あと、ごほうびもあります!」「…ごほうび!?」「タバコが吸える所の秘密のマップです!」「へえ、この辺よく来るんだけど、吸える所が少なくて困ってたんだ。聞かせてよ」。説明後に地図を渡すと「手作りなの?ありがとう。がんばってね」と喜んでくれました。モモコは今日、プリンを買うのを忘れて帰りました。
一つめのクエスチョン「これ相手は嬉しいかな?」は、「シアワセなオドロキ」を生むためのものです。
僕は体験型企画を考えるとき ...