いま、各企業が積極的に体験の場を設けている。従来のサンプリングやタッチ&トライにとどまらず、参加者を巻き込むイベントや自社製品のポップアップストア、テクノロジーを体験できるスペース、ブランドの世界を感じさせる期間限定カフェやバーなどが次々と街に登場している。その商品ならではの使用体験によって愛着を抱いてもらい、競合他社との差異化を図る。また、五感を通じ、イメージだけでは補いきれないリアルな実感を与える。こうした「体験型プロモーション」に注目が集まる今、「参加したくなる」「人に体験を伝えたくなる」イベント企画を立てるにはどうすればよいだろうか。メーカーや飲食店、商業施設の事例を通じて探る。
ニューバランス ジャパン「NBメガ鬼ごっこ」
西武ドームを舞台に約2000人が「鬼」から逃げて、逃げて、逃げまくった。
ニューバランス ジャパンは5月18日、「NBメガ鬼ごっこ」と題し、誰もが子どもの頃夢中になった鬼ごっこに、真面目かつ本気で取り組むイベントを開催した。
鬼役は、同社が契約するシドニー五輪男子マラソン銀メダリストのエリック・ワイナイナ選手やボブ・サップさんら。彼らにタッチされたら失格だ。
時間とともに増える鬼から見事逃げ切った優勝者には、トヨタ自動車「ヴィッツ」をプレゼントした。参加条件は中学生以上。参加費はスポーツ保険代500円で、チケットはローソンチケット経由で販売した。告知は自社サイトとリリース配信、ソーシャルメディアのみだったが、SNS上で「ニューバランスが面白いイベントを仕掛けている」と話題が広がり、早々に定員に達した。
スポーツブランドが「鬼ごっこ」を ...