イラスト:高田真弓
AKB48の握手会に、ファンは同じCDを何枚も購入して参加する。もはやファンというよりパトロンである。
去る5月25日、岩手県滝沢市で行なわれたAKB48の握手会で事件は起きた。刃物を持った男が同グループのメンバーを斬り付け、川栄李奈さんと入山杏奈さん、そして男性スタッフの3人が負傷。これを受け、同グループは、握手会を延期して対策を協議するとした(※7月現在は握手会を再開)。
さて、話は変わり、これも5月下旬の話。ミュージシャンのスガシカオさんがツイッターでこんな発言をした。「ダウンロードよりもCDを買ってほしい」。フォロワーたちがその理由を尋ねると、「DLだとほとんど利益がない。制作費が赤字になり、次の作品のメドが立たない」。
実際、日本の音楽市場は縮小の一途にあり、今はピークだった1998年の半分程度だという。それに伴い、現在、音楽業界はライブなどのイベントで利益を捻出するやり方が主流になりつつあるとか。例えばエイベックスは、CDやダウンロードの販売よりも、ライブや夏フェスの売上げのほうが上回る。なぜ、千円のCDが売れない一方で、数千円から数万円もするライブが盛況なのか。それは―客のパトロン化が背景にある。
元々、音楽家にパトロンは ...
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