利用シーンに広がり！紫外線ケア商品のプロモーション

紫外線が気になる季節が到来し、日焼け止め商品や紫外線対策グッズの売り場が活況を呈している。日焼け止めは従来の主流だった乳液タイプに加えて、最近はジェルやスプレーなどさまざまなタイプの商品が登場。剤形によって異なる特性をアピールし、使用シーンや使用頻度の拡大を狙う。今回は日焼け止めメーカー3社と、紫外線対策グッズを取り扱う通販会社1社を取り上げ、プロモーションの取り組みを紹介する。（取材・文　前田はるみ）

日常における紫外線ケアへの気づきを与える

以前は、日焼け止めといえば乳液タイプが主流だったが、近年はジェルやスプレー、パウダーなどさまざまタイプの商品が登場している。それぞれの特性を生かした使い方や使用シーンの広がりも見られる中、以前のように山や海などレジャーでの利用だけでなく、通学や通勤、買い物など日常のシーンにおいて日焼け止めを使う人が増えてきている。紫外線対策グッズにも、本格的な紫外線ケアを目的としたものから、日常でも使えるファッション性の高いグッズまで幅広いアイテムが登場している。

日焼け止めの使用シーン拡大の切り口として最近注目されているのが、朝出かける前に塗るだけでなく、外出先でもこまめに日焼け止めを塗る「塗り直し」である。塗り直すことで、日焼け止めの効果を持続することができると言われている。塗り直しの重要性を訴求し、塗り直しのシーンをどう広げていくかがポイントになる。また、紫外線対策グッズに関して言えば、日常のシーンにどれだけ取り入れられるかがカギとなりそうだ。

スプレーの併売促進でブランド全体に相乗効果
コーセーコスメポート

2009年に発売した日焼け止めスプレーが好調な、コーセーコスメポートの日焼け止めブランド「サンカット」。スプレーのため、外出中の塗り直しや、クリームなど従来の剤形では塗りにくい背中などにも使いやすいのが特長。女優の上戸彩さんを起用したテレビCMが好評で、「上戸彩さんの日焼け止めをください」と指名買いする人が増えたため、10年からは小売店などの要望により、店頭でも商品をすぐに見分けられるように上戸さんの顔写真入りパッケージで販売している。

販売が大きく伸びたのは、12年のこと。透明スプレーの特性を生かし、「髪にも使える」ことを訴求したのがきっかけだった。

テレビCMでも上戸さんが髪にスプレーするシーンを入れ、見る人に気づきを与えたところ、「ヘアスタイルを崩さずに頭皮にも日焼け止めを使いたい人に支持された」（企画部宣伝課課長溝上和江氏）という。

今年は、UVカット指数であるSPFとPAを最高値に引き上げた商品にリニューアル。テレビCMや店頭では「最強」というキーワードを押し出し、UVカット効果の高さをアピールするコミュニケーションを展開している。

同時に、エッセンスとジェルを本格的に導入し、ラインアップの拡充を図った。ただ、競合商品がひしめくドラッグストア店頭で、後発であるこれらの2商品を並べてもらうことは容易ではない。

そこで、対流通施策として同社が打ち出したのが、スプレーカテゴリーで売上NO.1の実績を持つスプレータイプを軸に、エッセンスとジェルの併売を促進する売り場づくりである。企画部販売企画一課次席西村講平氏はこう話す。

「もともとスプレータイプは、利用者の7割が他の剤形と併用して使っていることが、調査結果から分かっていました。よって、スプレータイプは、流通にとって買い上げ点数を押し上げる『プラスオンのアイテム』であることを、セールスポイントにしてきました。サンカットがブランドとして3商品そろった今年は、3商品を並べて置くことで併売を促進するような売り場づくりを推奨しています」

日焼け止め商品は、店頭で購入が決まる傾向の高い商品のため、什器は店頭でも目立つよう鮮やかな青色を採用。また、最上段に並んだ際にボリュームが出るようひな壇を設け、売れ筋商品であることをアピールしている。