味の素ゼネラルフーヅは4月から、袋タイプインスタントコーヒー「Blendy」「MAXIM」に、消費者の好みで便利に使える「エコぱっちん」をベタ付けした商品を販売している。おまけのための特設サイトや、全国ネットでインフォマーシャルをオンエアするという「本気度」だ。その企画の経緯を追いかける。
一般消費財のプレミアム事例

袋を密封する「エコぱっちん」
味の素ゼネラルフーヅが4月から、袋タイプの「Blendy」「MAXIM」に付けているバンド。春らしい色合いで雑貨のようなデザインに仕上げた。
商談好調!主婦たちも認めた
商品の使い方変えるグッズ
「カワイイ!」「オシャレで使いたい」─。ユーザーからこんな評価を受けているプレミアムがある。味の素ゼネラルフーヅ(AGF)の、袋タイプインスタントコーヒー「Blendy(<ブレンディ>)」と「MAXIM(<マキシム>)に付属するゴムバンド「エコぱっちん」だ。
景品付きとして、4月から2014年度内に500万個を販売していく。消費税増税の逆風の中、流通との商談では「先に『エコぱっちん』付きの商品を指定したい」とバイヤーから声がかかるなど好評という。店頭ではエンド販促物も設置し、販売を加速させる考えだ。
「実は、当初から景品を作ろうとしていたわけではないんです」と語るのは、<ブレンディ><マキシム>のインスタントコーヒーカテゴリーを担当するAGFの菅原若菜氏。プロモーションの目的は「袋タイプの使用スタイルを変えること」と言う。
景品を用いる施策としては一見、壮大なゴールだ。そこで順を追って企画の過程をたどっていこう。
同社のインスタントコーヒー購入者の構成は次のようになる。「袋タイプを買う」メインユーザーが20%、「びんタイプを買い、詰め替えるために買う」サブユーザーが15%。
「約10年前の袋タイプ発売時で、インスタントコーヒー市場はおよそ1000億円規模でした。『詰め替えならゴミがかさばらず、エコだ』と受け止められ、市場投入時から間をおかず、シェア10%まで伸びました。しかし、近年はやや成長率が鈍化している課題があったのです」。
市場全体を見ても縮小トレンドのため棚面積を広げるのは簡単でない。新商品で刺激する手もあるが、従来品とリプレースされては本末転倒だ。既存ブランドのメンテナンスを中心に施策を展開することにした。ターゲットは、残りの購入者の内、「購入からリピートしていない」20%と「毎回びんタイプを買う」25%だ。
リサーチを進めると、購入を阻む心理的ハードルが見えてきた。「購入経験者にとっては、詰め替えが手間というイメージが強く、実際にこぼしてしまった体験なども負の要因でした。びんタイプユーザーは『袋タイプは香りが逃げそう』という先入観を抱いていたんです。『ならば、詰め替えなくていいという提案をしよう』そう考えたのです」。
菅原氏の「エコぱっちん」実現の旅はまだまだ続く。「『香りを逃さず詰め替え不要』から、すぐ思いつくのは密封性の高いパッケージにリニューアルすることです。ただ、価格にコストが跳ね返りますし、もっと簡単にできる気がしました」。
そこで、法人向けネット通販サービス経由で、前身となる「エコバンド」を試験的に付属、使用感の回答を募った。アンケートはこれまでのケースを超える回収率となり、冒頭のような声や「いままで輪ゴムで止めていたけれど、(エコバンドを)使いたい」という反響が寄せられた。「結果的にこの企画がイケる!と感じたのは、この声があったからですね」と菅原さんは振り返る ...

販促物にオリジナルキャラ登場
「袋のまま使おう!」のメッセージを元に、「ふくろぅのママ」というキャラも制作した。